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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 一話 羽を持つ者たち ( No.14 )
- 日時: 2010/01/22 20:38
- 名前: 迷鎖 ◆eVKFdGz9q2 (ID: xYJBB/ey)
- 参照: 記憶と羽と十字架がぶつかりあって、今、火花が散る。
「うっわぁ……凄いね。ノアにしろイノセンス暴走にしろ、こんなに凄いわけ?」
「そう、ね……」
ディオスが、木も無い、草も無い、風の吹く荒地を見渡して言うと、リナリーが悲しそうに、寂しそうに言った。
イノセンス暴走ではスーマンのこと、ノアならば方舟の時のことを思い出して、落ち込んでいるのだ。
「顔……上げないの」
「え?」
俯いているリナリーに一人の少女が声をかけた。
白銀の髪を腰くらいに纏めていて、少し癖っ毛が目立つ、左目が緋色で右目に包帯を巻いている少女。
服は、黒いロングコートの下に黒のセーターと紺色のズボンを着ていた。彼女の名前は、ユトラス=レトフォリア。
「ユトラス……レトフォリア。ユトって呼んで」
ユトラスはそう言ってリナリーが返事を返すのを待っていた。リナリーは唖然としていて、ディオスはユトラスをじっと見ていた。
それもそうだろう。ノア襲来か、イノセンス暴走した荒地になったこの地に、人がいるわけがない。それも、少女が。
ディオスとリナリーはユトラスがノアなのだろうか、と考えるが、襲わないのが不思議であるので黙っていた。
リナリーの返事を待っているユトラスの白銀の髪は静かに吹く風になびいた。
「……どう、したの」
「ううん、なんでもないわ。ユト、ね。私はリナリー・リー。リナリーって呼んでね」
リナリーは、ハッとしたように、笑いながら言った。苦笑いしながら。
「わたし……そろそろ、行かないと……」
ユトラスは、そう言って漆黒の翼を出して空に消えていった。
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