二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 戦国BASARA【月に誓う…〜記憶を追い続けて〜】 ( No.176 )
- 日時: 2010/03/16 13:50
- 名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 3c0JYUg8)
- 参照: http://名前変えたよ★(元はトコ)
「——・・・!!、どう・・・し・・て・・・?」
葵は今の状況が気に入らなく、現実ではないと思った。
本当は葵がこの戦いを有効にして、幸村の命は貰わず最後にしようとしたのだが・・・・・・———。
葵は左の目の下と横腹の近くを見る。
幸村の槍は少しずれているのだが、少し赤い何か・・・・・———。
それは自分の血・・・・・———。
「・・・・はは、タイミング良すぎ」
「・・・・・・・・」
幸村は苦痛の顔をしながら無言に返す。
もちろん、幸村にとって葵の攻撃や華麗さは上だと知っているが・・・・・一瞬の隙が見えた。
あまり上がらない痛みの続く腕を動かし、一つの槍は葵の目の下をかすったのだ。
だが、もう一つの槍は葵の横腹を捕らえていた。
横腹はかなり深く切れていてドクドクと血が流れている。
落ちる血を幸村は見ていられなかった。
少し痛みがある中でも葵は話す。
「・・・さすが、「日の本一の兵」。・・・けど、私情が入りすぎるね」
少し笑みを幸村に見せ、葵は言う。
だが、幸村は言わない。
「・・・真田幸村、何か言ったらどう・・・?」
少し煽るように葵は言った。
「・・・・・・っ」
「・・・・・・?」
幸村は何かを感じ取っていたのだ。
さっきの隙・・・・あれは本当は葵が何か心の内に私情があったのではないかと・・・・・・———。
「葵殿は・・・・どうして、自分が避けれなかったのがお分かりござるか・・・・?」
「!!、・・・・何が言いたい?」
少しイラついた声で、幸村に問いかける。
幸村は少し苦しい顔をしたが、すぐに顔を戻す。
「・・・・お分かりではないのでござるな」
スッと幸村は槍を下ろした。
「——!!」
葵は有り得ない物を見たような顔で幸村を見る。
ふと、葵は見てしまった・・・・・・———。
「・・・泣いてる・・・の?」
「・・・・・・・・・・・」
幸村の瞳から、一つの小さな雨のような涙が縦線を描くように落ちていったのだ。
どうして・・・・・戦場で・・・・・?———。
葵は動揺するばかりで、何も言えない。
今まで一度も見た事が無かったのだ・・・・・・。
あともう少しで勝てる戦を目の前にして泣く武将など・・・・・・・・———。
幸村は涙をふき取り、静かに呟くように言う。
「葵殿、そなたはお強い武将でござる。・・・確かに、某は葵殿のようなお強い武将にやられそうになったでござる。だが、そなた・・・・さっきは葵殿の私情により避けられなかったのでは無いのでござるか?」
「——っ、今更・・・何を!!!」
何を言うかと言いたかったが、幸村は遮って言った。
「現に、今の葵殿のお顔は・・・・——哀しく、何かを思った顔でござる」
「・・・!!!」
僕が・・・・・哀しい・・・・・?———。
そんなわけが無いと言う言葉があるが、葵の心にその言葉は浮かばなかった・・・・・・———。
其の四拾会 傷と隙