二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 戦国BASARA【月に誓う…〜記憶を追い続けて〜】 ( No.581 )
日時: 2010/04/24 19:42
名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 3c0JYUg8)
参照: http://名前変えたよ★(元はトコ)

政宗はすぐに葵を見つけた。
もうその時は夜になっていて、満月が池に写っている。
「・・・・・葵」
「——!!・・・なんだ、政宗か」
ホッとした表情で葵は言った。
政宗は少しオドオドする。
体が拒んでいる・・・それは確かに分かっていた。
だが、ふと話すとどうすれば良いか分からなくなる。
なるべく間を空けないように政宗は話した。
「葵・・・・・俺は・・・どうすればいい?」
「えっ・・・・?」
一瞬、葵は政宗を凝視する。
政宗は肩の力をほぐして続けて言う。
「・・・俺が葵に近づいた時、俺に・・・拒絶するように言っただろ?・・・・幼い頃、母上が俺を化け物扱いする言葉と同じで俺はなんかお前を・・・・——拒絶してしまう」
「——!・・・・ごめん」
政宗は葵の言葉でハッと我に帰りアタフタした。
「あ、葵は悪くねぇ!!・・・ただ、この体が憎いだけで;」
「・・・うん、知ってるよ」
葵はスッと池の近くにしゃがみこみ、赤と黒の点をした鯉を見た。
「・・・・政宗・・僕は・・・・——何かを失っていたのかもしれない」
「——?!」
政宗は驚いて葵の後姿を見た。
少し面影がある後姿だが、強く何かを探しているように思える。
「・・・まだ、確信ではないよ。けど・・・両親の思い出を思い出したんだ。そこで僕は心の中で“「僕は・・・・何かを失ったんだ・・・・」”と思っているだけ」
「・・・その何かは分かるか?」
フルフルと首を横に振って政宗の方を振り向く。
そして・・・今まで見せないはずの笑顔でニコッと笑った。
「だけど・・・僕は一人じゃないと政宗や小十郎とかに教えてもらった。それを失いそうだったけど・・・もう失わない。・・・だから僕は——この月に誓う」
その言葉ははっきりしていて強い思いがある声だと政宗は心から感じ取った。
政宗はクスッと葵に笑う。
「じゃあ俺は・・・葵を守る事を月に誓うぜ。もちろん、従兄の兄じゃなく一人の男としてだ」
「——!・・・・・ありがとう」
二人は微笑みながら、池の満月と空の満月にそれぞれの誓いを立てた・・・・・・・・・・———。

其の壱百四健 月に誓う…〜記憶を追い続けて〜