二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜 69話更新 ( No.255 )
- 日時: 2013/01/20 22:35
- 名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
70話〜炎祈師〜
「炎・・・・・祈師?」
「聞き覚えねぇか?無知な糞野郎だな。まぁ仕方ねぇ。この力は俺らの一族だけのものだしな。
それに今じゃその一族も俺を残して他にはいねぇからな」
少し悲しそうにそう呟くと、ゼイルは両手からメラメラと燃える円盤状の炎を生み出した。
「カグツチ」
そしてそれが地面を深く抉りながらレナへと迫っていった。
レナはそれを交わした後、それが通った後の地面を見て、目が丸くなった。
「!!・・・・地面が溶けてる」
「エクスプロージョン!」
ゼイルはレナが一瞬気を取られている間に接近し、先ほどの球体をレナへとぶつける。
「きゃあああ!!」
爆発とともに吹き飛ばされるレナ。魔法服をまとって無かったら一発でアウトな程の威力。
(強い!派手な攻撃で隙をつくって確実に攻撃を加えてくる)
表面的には荒々しい攻撃や口調が目立つが、
ゼイルは確実にこちらの隙を逃さず攻撃してくるだけの冷静さも持ちえている。
しかしレナにはそれよりも気になるところがあった。
「魔法を発動してる気配は全然ないのに・・・・なんで・・・・・?」
「単純な理由だ。魔法なんてもんは使ってねぇからだ」
「え?」
ゼイルの言葉に言葉がつまるレナ。魔法を使ってないのに、炎を生み出している?
その謎を解決するようにゼイルは語り始めた。
「火は文明の始まりとされいる。その火を一番初めに活用したのが俺の祖先だ。
火は人間に多くの利益を与えるとともに、危険性も多く含まれていることを感じた祖先は、
人に火を教える前に、火を完全に支配する術を手に入れた。それがこれだ」
ゼイルは腕を差し出すと、その腕に炎が巻き付いていく。
その行動自体に一切の魔力やりとりが感じられない。
「勿論、これだけの火力じゃ戦闘には向いてねぇから、自らの魔力を注ぎ込み
火を増大させる必要はあるがな」
そう言ってゼイルは、腕に纏わりつく炎を巨大化させ先の炎の蛇へと変貌させた。
それに驚くレナだが、それ以上に先ほどのゼイルの言葉が気になった。
「人に教える前にって・・・あなたの祖先は神だったって言いたいの?」
「知るか。一族に残る伝承を読み上げただけだ。だが、
世界に存在するあらゆる火を魔力を使わず召喚し使役する。
魔法の蔓延るこの世界でも魔力を使わず炎を生むその姿が民には神にでも思ったのか、
人々は俺らの力をこう呼ぶようになった。
炎の創造神(フレアクリエイター)と!」
再び炎の蛇がレナを襲う。
「っ・・・・!!
水面に揺らぐ大災の予兆
高なる水は全てを飲み込み 攫い 破壊する!
タイダルウェイブ!!」
レナの後ろから高波が発生し、炎の蛇を飲みこみゼイルへと向かう。
「・・・やっぱ変わった魔法を使いやがるな。だが・・・・」
—ザパーーーーーーン!!—
「・・・・・・」
津波に飲み込まれる姿をしっかりと確認したレナだが、その表情は固い。
—ジュゥゥゥゥゥゥ・・・・・—
「!!」
「この程度の力じゃ俺の『ペレ』は破れねぇよ」
姿を露わしたゼイル。周りからは蒸気が発生し、ゼイルの身体自身は全く濡れていない。
ゼイル全身には炎がゼイルを守る様に渦巻いており、何故かその背後にはぼんやりとしているが、
髪の長い人影が見える。
「アクアニードル!」
「無駄だぁ!」
足元から襲う水柱に対してゼイルは微動たにしない。
その代わりに渦巻く炎が爆発するように膨張し、水柱を一瞬で蒸発させた。
「・・・・・・・・」
「技が効かなくてだんまりか?」
「集まりし水は力を経て刃へと姿を変える」
「!!」
レナの呟きと共に辺りに広がる水が蠢きだし、レナへと全て集まっていく。
「その刃 海を割り 山を崩す」
レナの周りで魔力が渦巻き、大量の水がレナの手の平に収まるほど凝縮されていく。
(あれだけの水があれだけ一点に凝縮されていく!不味い!!)
「アブレシブジェット!!」
—ドシュゥゥゥウンン!!!—
凝縮された水が一気に噴射される。正に全てを切り裂く刃と化した。
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
今ので大分魔力を消耗したレナ。息を整えながらゼイルの方を見る。
「・・・・・大した威力だな」
「!!」
声と共に姿を露わしたゼイル。
「ペレで軌道をずらすのがやっとか」
平然と立つゼイルだが、右腕からは血が流れている。
「今ので決められなかったのは残念だったな」
「・・・・・どうして」
「あぁ?」
「どうしてあなたはオラシオンセイスなんかの命令に従ってるの?」
レナがそう聞いたの単純な好奇心。この男が誰かに従うような器ではないと感じたからだ。
だが、その好奇心がゼイルの気に触れてしまった。
「口に気ぃつけやがれ。俺は命令されんのが大っ嫌いなんだ。
従ってるつもりはねぇ。俺もあいつも互いに利用しあってるだけだ」
「利用?」
「これ以上てめぇと話す気はねぇ。とっとと死ね!
スヴァローグ!!」
レナを中心に炎の竜巻が発生する。だが、レナ自身は台風の目にいるのでダメージはない。だが・・・・・
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・」
「苦しいか?この技は灼熱の大気に薄れてく酸素で相手を苦しみさせながら殺す俺お気に入りの技だぜ」
不吉な笑みを浮かべるゼイル。レナはなんとかこの中から抜け出そうと竜巻へと走る。
—バシュ!!—
「・・・・・あつぅっ!」
「無駄だ!中から脱出は不可能だぜ。下手に触れると大気で焦げるより、
酸素不足よりも先に丸焼きになって死ぬぜ」
どんどん空気が薄れ、意識を保つ事も難しくなってきたレナ。
膝が崩れ落ち倒れこみそうになる。
「とっとと死にやがれ。俺は残りの連合軍の奴らも全員ぶっ殺さなきゃならねぇんだ。
おめぇみてぇな雑魚相手に何時までも時間喰ってるわけにはいかねぇんだ」
「・・・・・・嫌だ」
ゼイルの言葉にレナはそう呟くと、よろよろと立ち上がり竜巻に手を触れた。
「っつぅううぅ!!」
「馬鹿か?言っただろ。中から出る事は不可能。ほんとに焼け死にてぇのか?
ま、どっちみちてめぇはもう死ぬ運命。とっとと諦めろ」
「嫌だ!」
「あぁ??」
レナは手が焼け焦げて行くのにも気にせず、竜巻から出ようと躍起になる。
「私が弱いせいで誰かが傷付くのなんて見たくない。
そんな思い、もう二度としなくない!だから絶対諦めない!ここであなたを、私が倒す!!」
「空気が薄くなってまともな思考が出来なくなったか?
どう考えたら俺を倒せると思ってんだ?」
「無理でもやる!私はもう自分に負けるようなことはしたくない!!
そのせいで!誰かが傷付くなんてもう嫌なの!
私はまだ立てる!腕も上がる!魔力も残ってる!戦える!!」
「下らねぇ。根性論もいいとこ・・・・・・・」
—・・・・・・・ズゥ—
「なんだ?・・・・・」
—・・・・・・ズズズズゥ—
レナの言葉を狂言として冷めた態度で聞いていたゼイルだが、
妙な音が辺りに響き渡り始めた事にそちらに耳を傾けた瞬間だった。
—パンッ!—