二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜 19話更新 ( No.43 )
日時: 2011/08/16 22:00
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

20話
   チーの本質





カムイはどんどん守り神の力が上がってきていることを感じていた。
その時守り神は消えたと思ったら、後ろをとる。カムイはすぐさま後ろを向くが

『遅いぞ、汝よ』

守り神は余裕の笑みでカムイに襲い掛かる。
カムイが地面に這い蹲る。そして、よろよろと立ち上がる。

『どうした汝よ。動きが随分と鈍っているぞ』

守り神も地面に降り立ち、息一つ切らずに立っている。そこでカムイも気づく。
相手の力が上がっているのではなく、自分の力が落ちているということに。
魔力も大分落ちている。息も上がっていることに今気づく。

『やはり、人間は不便だな。同じ力でも必ず差が生まれる。
楽しかったが、これで最後だ』

守り神が止めを刺そうと動いたとき、二人の間にチーが入り込む。
チーは守り神に向かって猛然と突っ込んでいく。

「チー!止せ!!」

カムイの言葉も耳にかさず突き進む。守り神はそれを興味がないとばかりに軽くあしらう。
チーは吹っ飛ばされても、それでも守り神に向かっていく。

「チー!!」

チーを本気で止めようと動いたとき、カムイは目を疑う。
チーが守り神の放つ雷を突っ切ったのだ。

偽者だとしても守り神の魔法は本物だった。それはカムイも理解している。
それをチーはぼろぼろになりながらも向かう。守り神は苛立ちを感じたのか。

『しつこいぞ、汝よ!!』

守り神がチーを吹っ飛ばす。チーはそれでも起き上がろうとする。

「チー・・・」

その時チーに魔方陣が出る。それと同時にチーも姿を変える。
だが今までの武具化の魔法じゃない。それと同時にチーの魔力が変わる。

いや、本質に近づいたと言ったほうが正しいのかもしれない。
チーの周りに電気が走り姿が見えてくる。

「あれが・・チー?」

チーの姿はイタチからトラに変わっていた。四肢は電気が纏っていて、
鋭い目が守り神を見る。その瞬間守り神は筋肉が凝縮して固まってしまった。

魔法を使ったわけでもない。ただ、その目を見た守り神が絶対的な恐怖を感じただけだった。
絶対的な恐怖、それは死。

「グルルラァァァア!!」

一瞬、本当に刹那でチーは守り神をその鋭い爪で体を引き裂き、
その鋭い牙で頭を噛み千切った。守り神は霧となって消える。
その後チーがカムイを見る目は子を守る優しい母親のようだった。

「大丈夫か、カムイ」

優しい声が耳に木霊する。

「お前、喋れるのか」

「可笑しなことを言う。俺たちの前に言葉など不要だというのに」

ふふっと微笑しながら笑うチー。その時チーの体がどんどん小さくなっていった。

「どうした!?チー」

「心配するな。元の姿に戻るだけだ。その前に・・・」

チーはカムイに寄って行くと尻尾をカムイの手の甲に押し当てた。
すると、カムイは自分の魔力が回復していくのを感じた。

「元の姿の俺は今の姿に比べれば小さく、弱い。
だから・・・」

「そんな事はない!!」

チーが言い終わる前にカムイが言葉を制する。

「お前がいてくれたおかげで俺は今ここにいる。弱くなんかない、
小さくなんかない。俺の中のお前はでかく強い存在だ」

「・・・ありがとう、カムイ」

その言葉を最後にチーは元の姿に戻る。チーは不思議そうな顔でカムイの顔を除く。
どうやた、変身した時の記憶がないらしい。

カムイはチーに小さく微笑むと一緒にさらに奥へと進んでいった。

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レナとカナは暗い通路を進んでいった。
レナは沈んだ顔でカナの後をついて行く。それを見たカナが

「カムイの事が気になるのかい?」

「う・・ううん。そういうわけじゃないけど」

「カムイが傍にいないと不安かい?」

「・・・・」

カナがそう聞くと黙り込んでしまった。カナは前に向き直り。

「カムイが傍にいるとどんな感じなんだい?」

「・・・・よくわかんない」

「そうかい」

しばらく沈黙のまま歩き続ける二人。すると

「よくわかんないけど・・」

ふとレナが口を開いた。ずっとさっき聞かれたことを考えていたらしい。

「一緒にいるととても安心する。ずっと独りで寂しいことすら感じられなかった
私の心が、カムイといるだけでどんどん温かくなっていって。、
温かい太陽に包まれているような感覚に似ているの」

そう言いながら、自分の胸に手を当てる。

「一緒にいるだけで・・か」

カナが寂しそうに繰り返す。でも、すぐにそんな顔を笑顔に変えて

「それじゃあ、少しでも早くカムイに会えるように急ぐとしようか」

「うん!」

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「レナ、聞こえるかい?」

「うん」

そういって聞こえてきたのは、多くの人の話し声。おそらく入る前に言っていた人間たちだろう。

「こいつらに鍵が渡ったら厄介だ。片付けるよ」

「うん!」

そういって、走り出し話し声の元に向かう。そして

「な・・なんだてめーら!!」

二人の存在に気づいたよからぬ者の一人が叫ぶがもう遅い

「爆!」

「フレアドライブ!」

相手が構える前に攻撃を仕掛ける。あたりに粉塵が巻き起こる。

「くそ。不意打ちとは卑怯な連中だ」

「まったくだ。しかしこちらにはまだ多数いる。女二人でどうにか出来ると思うなよ!」