二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BLEACH 刹那の時間【焔】 ( No.13 )
日時: 2010/05/27 11:34
名前: 風 (ID: iRJ1Fm4A)
参照:  

夢様へ
久し振りのコメントですぅ♪
って言うかコメントしてって君に言ったんだけどね(苦笑
本当にあんなに遠くに行っちゃったの探してくれて有難う!



〜刹那の時間【焔】〜
第四節「護廷十三隊動く!」

ダン…
ダダン…
ダンダンダン…

普段は静かな筈の一番隊隊舎隊長職務室前に多くの足音が響く。
地獄蝶により召集命令が下された護廷十三隊隊長連だ。
今は裏切った3人と突如謎の空間に引きずり込まれ(恐らく)消失した隊長を除き6名だけだが。
三番隊は吉良,五番隊は雛森・六番隊は恋次
七番隊は射場・九番隊は檜佐木・十一番隊はやちる・十二番隊はネムと夫々副官が代理を勤めている。
普段は代理を立てることも無いが今回は緊急かつ特例的な事で彼等も招来した。

恋次「檜佐木さん……俺此処入るの始めてっす」
修兵「ほとんどはそうだろ?」

何の悪びれも無く修兵は冷然と言う。
狛村が目の前から消失したのは先刻だ。まだ,悲しみも癒えては居ない。
あの人の事だ。容易く死んでなど居ないとは心のそこで思っていても待つ身は辛い。

恋次「………狛村隊長も居なくなっちまいましたね」
修兵「死んで……ねぇ」
恋次「当たり前っスよ!あの人達をそう簡単にこんな手際よく殺せるような連中なら…
俺達はとっくに殺されてる…」

恋次は言葉を選ぶようにして先輩である情に熱い檜佐木を力付けようとする。
其れを聞いても修兵は今にも壊れそうな辛そうな顔をしていた。
何も言わず修兵は中に入り定位置へと付いた。

カッ___山本「ぺい!皆到着したようじゃの!!是より緊急会議を開始する!!!
事態は一刻を争う……相手の正体は今だ雲を掴むようじゃが動かねばなるまい!」ドン…




                  ____「事態は火急である!!」



ザワザワと今回の騒動についての話を取り留めなくする隊長達を杖の音1つと言葉一つで黙らせる。
山本の杖の音…それは会議の本格開始を意味した。

山本「議題に入る。
今日朝8時隊首会にて突然の朽木隊長・更木隊長・涅隊長の魂魄の消失は皆目撃しているな?
副官達も聞き及んでおろう…明朝は未だ敵の手の内が分らぬと手を出しあぐねたが…
正午に又もや敵の魔の手は動き狛村隊長が消えた。是は看過できぬ物となってきたという事じゃ」

日番谷「唯でさえ藍染騒動で戦力を温存しておきてぇのにな」
砕蜂「全くだ…こんな浮き足立った時に破面に襲撃されたら護廷は陥落するぞ…」

唯,1日の間に突然の暗闇…音も霊圧も全てを飲み込む暗闇が二度襲い…
暗闇の中の数秒の間に4人もの隊長を殲滅したとは考え辛い。
例えそうだったとしてもそんな事を出来る者達であれば全員殺してしまえば良い。
殺した痕跡も無く常識的に考えて違う空間に引き摺り込まれたと言う考えが今の見解だ。
無論,あの一瞬の間に殺せる者だったとしても可笑しくはないが血も攻撃痕も何も無く…
それは粗有り得ないと断定できる。
詰り隊長達は今まだ何処かで何とか生延びている可能性は高い。
若しかしたらその引きずり込まれた空間の者達に殺されている可能性も有るが…
こうやって少しずつ引き摺り込むと言う事は殺すにも手順が必要と言う場合が多いと考えられる。
何より先刻言ったが隊長格を容易く殺せるならこの場で殺せば良い話なのだ。
故に消えた隊長格の命についてはまだ余り心配はされて居ない。
問題はこのガタガタの状態で藍染が攻めて来る事だ。
一刻も早く戦力を戻し戦力回復を願いたいのが本音だ。


京楽「まぁまぁ,そう悪くばかり考えなさるな,良くも受取れるよ…
消えた隊長達は幸いにも護廷十三隊にとって其処まで痛手になる人達じゃなかった。
僕や浮竹・山爺みたいな直接組織に大きな影響を与える人は1人も居なくなってない。」

卯の花「それもそうですわね…この様な不祥事は涅隊長の頭脳は惜しいですがね」
京楽「そんな事言ったら歴史を管理する朽木家当主の朽木君の消失だって惜しいけどね……
正直…今は重く捉え過ぎないで早くリラックスして動くべきだよ」

卯の花の言葉に多少は其れは惜しいと思いながらも
京楽は何時までも重い空気で居てはいけないと言葉を回す。
其処に砕蜂が言う。

砕蜂「聞けば現世でも似たような事件が起こったと夜一殿から報告が…」

砕蜂はこの場では夜一様とは言わず少し遠まわしに「殿」とつける。
夜一とは逐一現世と戸魂界での霊的動向を連絡しあっていて耳が早い。
その砕蜂の言葉に山本は眉根を動かす。

山本「真か?」
砕蜂「それにより死神代行黒崎一護と護廷十三隊隊士朽木ルキアの魂魄が消失した模様」

山本「唯でさえ戦力が少なく,危険であるが…仕方有るまい。
砕蜂隊長の言葉を元に是より現世調査と瀞霊廷の守護をするものを分割する。」

山本が苦肉の策と言わんばかり唸りをあげて言う。

京楽「で,戦力はどっち優先で?」
山本「元より少ない戦力…藍染に襲われれば崩れよう。
此処は少しリスクが有るが半々で行こう」

その言葉に皆が目をむく。
普段なら現世より霊的に被害の大きい戸魂界を護ることが多い。
しかし,山本は現世も軽んじる事は出来ないし今の戦力では戦力の温存など出来ないと断じたのだ。

吉良「僕は…」
砕蜂「お前と雛森は文官として此方で文書処理の中心となるべきだな」

吉良「はぁ…」
雛森「宜しくね…」
吉良「はい!」

砕蜂『吉良……可愛い奴め』

砕蜂の助け舟で雛森と吉良は後方支援を言い渡された。
現世へと向かう面子は浮竹・京楽・七緒,そして隠密機動として大前田……
更に回復役として勇音…
檜佐木と恋次と草鹿が隊長代理からは選ばれた。
京楽や浮竹も現世に行く理由は護廷十三隊最大戦力と唄われる
古からの4人を纏めて失いたくないと言う配慮だ。

檜佐木は大切な物をこの1年連日のように奪われた苦しみをぶつけ自ら志願し…
やちるは現世に遊びに行きたいの強請り子供に弱い山本が其れを許した。

こうして,会議は幕を閉じた。


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浮竹「しかし,現世に行くのなんて久し振りだな…」
京楽「僕もだよ…眩暈がしないか心配さ♪」

浮竹「本懐を忘れるなよ京楽!」

一番隊隊長職務室の外,
終ったばかりでまだ隊舎に戻っていない者達の声が聞こえる。
浮竹と京楽だ。
気楽に自分の心配をする京楽を戒めるように言う浮竹が其処には居た。

ザッ…やちる「京ちゃ〜ん,早く現世遊びに行こう♪」

京楽「はははっ,そうだねぇ♪」
浮竹「オイコラ,さっきの言葉覚えて…」

ポン…京楽「でもさ…遊びに行くんじゃないんだって♪まぁ,現世を楽しむ位許されると思うけどね?」

やちるの頭にポンと手を載せて京楽は諭すように言う。
やちるは言葉を失い大きな京楽を見上げ本音を言う。

やちる「早く剣ちゃんに帰ってきて欲しいの…だからやちるも色々な所を調べるの」
浮竹「あぁ,宜しくな!」ヒョイ…

やちる「うっきー?」
浮竹「草鹿は何時も更木の肩の上に乗ってたな…あいつが帰ってくるまでは俺が特等席だ!」
やちる「あはは!うっきー号発信〜♪」

そう言って病弱なはずの浮竹はやちるをひょいと自らの肩に乗せ歩き出した。
親子の様に楽しそうに1人の大事な人を目の前から失ったやちるを慰めるように……


=================

夜___

現世へと向かう部隊が一番隊隊舎へと集まっていた。
此処に鬼道衆達により穿開門が造られていた。
浮竹・京楽・七緒・やちる以外の面子は既に揃っている。

山本「浮竹達はまだかの?」
恋次「もう直ぐ来るでしょ?伊勢さんが居る限り時間ギリギリにまでには来ますって♪」

山本「何の積りじゃ阿散井?」
ギロリ…恋次「いやぁ!!何て言うかな…そんな心配してちゃご老体悪い…」バキィ…

山本「わしゃぁ生涯現役じゃ!」
阿散井『かなわねぇ』

檜佐木「馬鹿が…」
勇音「阿散井君の馬鹿は今に始まった事じゃ…」
檜佐木「確かに」

目の前で繰り広げられる山本と恋次のコント……恋次の完全な失言による風景を見ながら,
勇音と修兵は馬鹿で可愛い然し,頼り甲斐の有る後輩を見ながら笑った。
大前田はと言うと「くだらない」だの「何でこんなこと」だのと言いながら其れを見て笑っていた。

其処に___

京楽「ごめ〜ん,遅くなったぁ♪」
七緒「済みません!私としたことが詰らない忘れ物をして…」

檜佐木「伊勢さんが…」
大前田「珍しい事もあるもんだぜ…あの真面目な七緒がね」

ハァハァと息を切らせているのは文官タイプの伊勢七緒…
キリッとした眼鏡の似会う美人で何時も緩々な京楽をリードする良き副官だ。
京楽の気紛れではなく今回は伊勢の忘れ物が原因で遅れたらしい。

七緒「全く,私も京楽隊長のだらしなさに触発されましたかね?」
京楽「酷いよぉ」

やちる「あはははは♪京ちゃんショゲたぁ♪」

そんな楽しい微笑ましい風景...戦いに出向く者のせめてもの手向け酒として山本も楽しそうだ。

山本「そろそろ,お別れじゃな」
浮竹「きっと生きて帰ってきます…」
京楽「現世の土産何欲しい?」

山本「ふむ,八橋なる物が欲しいの」
京楽「残念♪京都じゃないと本物は買えないよ」

最後まで気楽な表情で手を振りながら京楽たちは現世への門を潜った。
新たなるステージへと物語は進む。


雀部「行ってしまいましたね」
山本「心配はしておらんがの……」


穿開門が完全に消滅する。
副官の雀部の言葉を聞いて山本は満天の星空を省みて祈りを捧げた。


                                      END

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