二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜青春っていいよね〜 マサラ学園特別編! ( No.8 )
日時: 2009/10/16 20:55
名前: くろーばー (ID: I69Bg0jY)

第6話 星空の下で


練習を再開するイナズマキャバン。

それを密かに見る怪しい影——。
ユウヤは薄々気付いてはいるが、気のせいだと
思っているようだ。

これが近々、大事件を起こす犯人だということを
知らずに——。



あっという間に日が沈み、島は深い闇の中。
男はバスの中、女はテントの中で眠っている。

ユウリは羊を数えていたが、眠れずにいた。


服を着替え、テントから出てきたユウリは、
地べたに座って空を見上げた。

—満天の星空。何も遮るものが無く、
 まるで天に宝石を散りばめたように綺麗だ。


このまま、元の世界には戻れないのか。
この世界で、一生を過ごさないといけないのか。
知らずのうちに、涙がこみあげてくる。


「何をしてるんだ」

突然声をかけられて、ビクっとした。
振り返ると、そこには豪炎寺が立っていた。
豪炎寺は空を見上げた。

「綺麗だな」

「うん。……豪炎寺も、眠れないの?」

「ああ。壁山のいびきで」

なるほど。さっきまで気付かなかったが、
いびきがこっちにまで聞こえてくる。

「おまえは」

「うちは……。
 不吉なことばかり考えちゃってさ。
 元の世界には戻れないのかな、なんて」

「元の世界……」

「うん。向こうには、友達もいるし、
 家族もいるし、叶えたい夢もあるし……。
 今頃、お母さん、心配してるだろうなって
 考えたら、つらくなっちゃって……」

ユウリはしんみりとした口調で言った。
その言葉一つ一つには、寂しさと脅えがあった。


「……俺も、そういうときあった」

「豪炎寺も?」

「ああ。その頃おまえみたいに眠れなかったり、
 つらくて涙が出そうになるときもあった。
 おまえの気持ち、よくわかる」

「豪炎寺……」

「でも、俺は信じ続けた。いつか、戻れる日が
 来るって。そうしたら本当に戻ることが出来た。
 おまえも信じろ。絶対、その世界に戻れるって」

「……うん。ありがとう」

ユウリがお礼を言うと、豪炎寺はふっと笑って
またバスの中に戻っていった。

ユウリもテントに戻り、何もなかったかのように
深い眠りについた。


続く!!