二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: フェアリーテイル 9話更新 ( No.9 )
日時: 2009/11/23 18:22
名前: アビス (ID: 7.60N42J)

9話〜仲間と共に歩む道へ〜




—クローバ町 定例会会場—

「ハァ、ハッ、ハァ」

カゲは息を切らしながら魔導4輪車を降りた。

(よし、まだ、定例会は終わってないな)

カゲは心の中で勝利を確信していた。後は自分がこの笛を
吹けば、全てが終わると。

カゲは笛を取り出し、吹くために口に近づけた。その時

ーポンー

自分の肩に誰かが触れる。自分のやろうとしていた事もあったので、
カゲは自分でもびっくりするぐらい驚いた。

「ふひゃひゃひゃひゃひゃ!!ゲホッゲホッ」

そこにはマカロフの姿があった。自分が殺そうとしたギルドマスターの一人。
マカロフは今も咳き込んでいる。

「と、こんな事している場合じゃなかった。急いであの3人の元に
行かねば。本当に町が消えかねん」

そこまでいうと、マカロフはカゲを見た。

「お前さんもはよぉ帰れ。病院にな」

(ちっ。今後は妖精の尻尾のマスターか。つくづくハエに縁のある一日だな)

心の中でそう思うも、カゲは笑顔を装って。

「あ・・あの。一曲聴いてくれませんか?病院は楽器が禁止されているもんで・・・」

「・・・気持ち悪い笛じゃの」

マカロフはカゲが持つ笛を見ながらいった。

「見た目はともかく、いい音が出るんですよ」

「急いでいるんじゃ。一曲だけじゃぞ」

「ええ」

マカロフの言葉に思わず笑みを浮かべた。これでいける。この距離なら
中の会場にも十分聴こえる。

カゲがもう一度笛を口にそえる。

「よぉく聞いててくださいね」

・・・そこでカゲの動きが止まった。なぜ止まったのかはカゲ自身にも分からなかった。
そんな事を考えている中で、何故かここにくる途中に妖精の尻尾にいわれた言葉が蘇る。

『そんな事をしたって権利は戻ってこないのよ!!』

正規ギルドが俺たち(闇ギルド)の何がわかる!!

『もう少し前を向いて生きろよ。お前ら全員さ』

黙れ・・・

『カゲ!!お前の力が必要なんだ!!!』

黙れ黙れ!!

なぜこんな時にあんな奴らのことを・・・



「いた!」

5人がようやく追い着いた時には既に、カゲはもう吹く寸前だった。

「マスター!!」

エルザがそう叫び、マスターの所に向かおうとする。だが、

「しっ。今いい所なんだから、見てなさい」

それを制止させたのは、ブルーペガサスのマスターだった。

「あなたは!!」

「あら、エルザちゃん。大きくなったわね」

「どうした?早くせんか」

向こうからの声に一同は静まり返った。

「さあ」

マカロフの言葉にカゲは異様な恐怖を覚えた。

(吹けばいいんだ。それだけで・・すべてが変わる)

「・・何も変わらんよ」

自分に言い聞かせるように思った言葉にマカロフの言葉が突き崩した。

「人間などもともと弱く小さな生き物じゃ。自分の不甲斐なさに嘆くこともあれば。
自分の弱さに不安にもなることもある。

一人じゃ何をやっても限度がある。
だからこそギルドがある。仲間がいる。

人と関わり合い、競い合い、寄り添い合って歩いていく。
不器用な奴には人よりも苦労も時間も掛かるじゃろう。

それでも明日を信じて踏み出せば
おのずと光が見えてくる。強く生きていこうと笑っていける。

そんな笛を頼らんでも・・な」

「〜〜〜〜〜」

・・・・
・・・
・・


—コト—

そう音が鳴ったとき地面にはカゲが落とした笛があった。

「参りました・・・」

カゲは小さな声でそういった。