二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 新 モンスターハンター・バロル ( No.2 )
日時: 2009/11/26 16:06
名前: アビス (ID: 7.60N42J)

27話
   再戦




「しっ。静かに。いたよ」

ミルナが3人に言った。
ソニックたち4人は前回と同じ樹海にいた。目的はもちろん
ナルガクルガの討伐。

新しい武具を身にまとって、再び赴いたのだ。
今回発見した位置がナルガから遠かったので、敵をよく観察する事ができた。

改めてみると、前脚が異様に筋肉で膨れ上がっている。
あれならあのスピードも納得だ。

「私が先手を打つね。その後みんな続いて」

ミルナはそう言うと弓を構えて、引き絞った。

「無理だ、距離がありすぎる。届かないぞ」

「大丈夫。ミカの言葉が本当ならね」

ソニックの言葉にそう返事すると、集中するように肩で息をすると
弓をさらに引き絞る。

そして

—ヒュン!  キュイン!—

矢を放つとものすごい勢いで飛んでいった。
しかしそれは、ナルガの体を僅かにかすっただけで大木にめり込んだ。

「はずした。ミカの言うとおり扱いが難しい」

ミルナが残念そうにいう。
しかしそんな時間も与えないまま、ナルガが4人に向かって走ってきた。
やはり恐るべきスピードで近づくと、4人めがけて爪を振り下ろした。

4人は散り散りになってかわす。スタークは後ろに引き、
攻撃した直後の隙を狙い攻撃した。

しかし、ナルガも応戦し尻尾をスタークに向けて放った。
避けるのは無理と思ったスタークは、それを篭手でガードしようと身構える。
しかし、

「そのまま突っ込め!」

上空からの声と共に、ソニックが尻尾とスタークの間に、
大剣を前に構え入ってきた。

—ガキンンンン—

ナルガの攻撃がソニックの大剣に衝突する。その衝撃はすさまじく、
前の大剣だったら絶対に折れていただろう。
ソニックはそのまま押されて吹き飛びそうになった。
すかさずもう一本の大剣を背後の地面に深く刺し、踏ん張った。

スタークはそのままの勢いでナルガの上を飛び、その背中に二本の太刀で
一撃ずつ入れる。それと同時にミルナとサラも攻撃を仕掛ける。だが、

—ギュイン!ギン!—

金属同士がぶつかる様な音を立て、スタークは弾き飛ばされる。
ナルガの背中には斬撃の跡が残っていたがどうみても、ダメージほぼゼロだった。
ミルナとサラの攻撃も致命傷には程遠かった。

しかし、スタークが弾き飛ばされたのは、ナルガだけのせいではない。
攻撃の瞬間、振動により刀が大きくズレ、ナルガの鱗を滑った。
その時二本の刀が触れ合ってしまったからだ。

ナルガはソニックへの攻撃を止めると、後ろに下がりそのままどこかに行ってしまった。

「随分扱いずらそうだな、スターク」

ソニックがそう言うと、スタークは太刀を鞘に収めた。

「強い武器は使い手次第で姿が変わるって言うからな。
だが、次は大丈夫だ」

すると、二人の元にミルナとサラが寄ってきた。

「いいタイミングで逃げてくれたね。あの状態じゃあ態勢を整えるのは
難しかったから」

「そうだな。そんじゃあ行くか」


ナルガを追っている道中、サラが突然口を開いた。

「やっぱり皆さんはすごいですね」

「なにが?」

「モンスター相手に躊躇いもなく挑めるなんて、私にはとても・・・。
ナルガクルガが相手ならもしかしたらと思ったけど、
いつも以上に恐怖心を感じてしまいました」

「でも、ちゃんと動けてたじゃねえか。お前は自分が思っているほど
びびっちゃいねえよ」

ソニックが励ますように言った。でも、

「けど内心は逃げたくて仕方ありませんでした」

「けど、逃げなかった」

ソニックがいう。

「別に怖いと思うのは悪いことじゃねえ。本当に悪いのはそれに背を向けて逃げることだ。
でも、お前は怖くてもモンスターから背けなかった。

そこにどんな理由があろうと、それが一番大事大切なことだ」

その言葉にサラはポカンとしたまま、ソニックの顔を見た。

「ん?俺の顔に何か付いてるか?」

「あ・・いえ。ソニックさんって人を勇気付けるのが上手だなって」

「なんだそれ?」

「いえ。気にしないでください。おかげで勇気が出ましたから」


—グオオオォオォオオ!—

「う!」

ソニックいきなりがその場にしゃがみ込む。

「ソニック!?」

ミルナがいう。ソニックはすぐに立ち上がった。

「あ、悪い。変な呻き声がしてさ」

「呻き声?そんなもんどっからした・・・・その呻き声ってどこからだ?」

その声がソニックにしか聞こえないものと気づいて尋ねた。
ソニックは黙って歩き出した。3人はソニックの後について行った。

ソニックはその呻き声を以前聞いたことがあった。それは、あのイビルモス戦の時での
キャンプで聞いた声。苦しいような辛いような、とにかく耳にしたくない声だ。


しばらくすると、そこにナルガがいた。4人はギリギリまで近づこうと忍び足でいったが
無駄だった。すぐに気づかれて、こちらに向かってくる。

サラはリボルバーに貫通弾レベル2を素早く装填し、撃つ。
しかし、それをナルガは当たる寸前に横に飛んでかわす。そこから飛んでソニックたちを
襲おうとしたのか、着地した瞬間に力を溜める。その時

—ボン!ボカン!!—

ナルガ一帯の地面が爆発する。それに耐えかねてナルガ転倒する。
3人は目を丸くする。3人は何もしていなかったのだ。ということは

「サラ、なにしたんだ?」

スタークが聞く。

「ナルガが飛んだ瞬間に着地地点が分かったので、絶対に逃げられない
着地した瞬間に拡散弾レベル2を撃っただけですよ」

簡単に言うが、結構難しい事である。3人はそれなりに経験からの勘があるが、
サラはまだ満足に狩猟をしたことがない。

「と、そんな話している場合じゃなかった」

スタークが転倒しているナルガに向かっていく。
その手に握られていた活力剤と強走薬グレードを一気に飲み干し、鬼人化した。

そして、ナルガにたどり着くと気刃ゲージを一気に開放した。

「気刃乱舞——」

—ガガガガガガガガガガガガ—

その勢いとスピードは今までとは違った。ソニックでも、目で追うのがギリギリの速さだ。
いつもの十回程度で終わる乱舞とは違う。

10・・・20・・・30・・・・40・・・ まだ続く。

ナルガは今まさに「斬撃の檻」に囲まれてまったく動けないでいる。

乱舞の数はすでに70回も超えていた。そして、78回めで動きを一瞬止めた。

「——八十神(やとがみ)!」

二本の太刀でで渾身の攻撃をする。計80回の超乱舞だ。

—ウォオオオ!—

ナルガもさすがに大ダメージを受けたらしく、その場に倒れこむ。
すると、スタークが戻ってきた。

「馬鹿野郎!あんな無茶しやがって」

—ミシミシ、ギシ、パキ—

スタークの体から不気味な音が響く。体が悲鳴を上げているのだ。
本当に無茶をしたらしい。それでも、スタークは笑いながら

「へっ。あれぐらいしねえと、長引いてこっちがやられるだけだ・・・
それと、俺はもうほとんど動けねえから、任せたぜ」

スタークはいう。スタークが人にものを頼むなんて今までなかった。
もう本当に立っているだけでも辛いだろう。

その時咆哮がしたと思ったら、ナルガが跳ね起きて遠くでこちらを睨んでいた。
気のせいか、目が赤く光っているように見えた。

「切れたか」

スタークが肩で息をしながらいう。
するといきなり、

「危ない!!」

サラがそう言いスタークを吹っ飛ばした。大した力は無かったが、今のスタークには
それだけでもかなり効いた。

「ぐ・・はあ。さ・・サラ、てめーいき・・・」

—ギュン!—

スタークが目を丸くする。ナルガが今までよりもさらに速いスピードで
さっきまで自分が立っていたところを突き抜けたのだから。
だが、それよりも驚くことがある。

「サラ。お前なんで、今の攻撃を見切れた」

そう、ソニックも反応できなかったナルガの攻撃を行う前にサラは察知して動いていたのだから。