二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 新 モンスターハンター・バロル ( No.7 )
日時: 2009/11/26 16:11
名前: アビス (ID: 7.60N42J)

31話
   名なき本当のモンスター




—スタタタタタタ—

スタークたちは、ソニックがいると思われる特別闘技場の中を走っていた。

「本当にソニックさんはここにいるんでしょうか?」

サラが走りながら言った。

「ここくらいしか、あいつがくるところはねえよ。
それに昼間の様子から見れば十中八九そうだろ」

スタークは前を向きながら言った。その時

—ギャオオォォオ!!—

モンスターの雄叫びが闘技場中に響いた。

「バトル場のほうからか」

「急ごう。もしかしたら、ソニックがそこにいるかも」

「だな」

バトル場に着いた3人はこの世のものとは思えない光景を見た。
まさに地獄絵図。

バトル場内部はモンスターの残骸が散らかり、壁は血で塗られていた。
そして、その中心に立っていたのは・・・

「ようこそ諸君。裏 モンスター・オブ・コロシアムにようこそ」

観客席の反対側から声がして振り向く。そこには昼間にあった老人がいた。

「おい、じじい!これはどういうことだ!?」

スタークが声を上げて言う。

「なに。本来ここはモンスター同士を戦わせる舞台。だが、観客の中には
人間とモンスターを戦わせるのを見たいと、言うものもおる。

だが、それは規律上禁止されておってな。そこで罪に訪われている
ハンターを雇い、この場で戦わせるということだ」

老人が説明する、だがスタークはさらに声を上げて

「そんな事を聞いてんじゃねえ!なんでソニックがあそこにいるか聞いてんだよ」

その言葉に老人はにやけて

「それは・・奴がモンスターと深い関わりを持つから、と言っておこうか」

「なに?」

スタークの言葉に老人はさらに、口元をにやけさせながら

「さてお主たちも気付いておると思うが、今ソニックは我々に操られている。
その源となっているのはあの首輪じゃ。外せばソニックは正気に戻る。
取り戻したければ、あれを外す事じゃな」

スタークたちはお互いの顔を見合わせると、バトル場に飛んだ。
その瞬間、観客席とバトル場の間に柵が出てきた。

「ここから、出す気はないってか」

スタークがいう。

「さあ、いい実験結果を見せてくれよ。実験スタートじゃ」

高いコング音が鳴り響く。それとともにソニックはスタークに向かって
思いっきり大剣を叩きつける。だが、

「なめんな」

—ズドン!!—

スタークのカウンターでソニックは反対側の壁に激突する。

「さすが、封印のハンターじゃの。覚醒なしじゃ無理か」

老人がそう呟き、手に持った機械を操作し始める。
ソニックが砂煙の中から出てきた。その直後

—ウォオオオ!!!—

ソニックが吼えると、全身から黒い煙のようなものが出て包み込んだ。

「な・・なにあれ」

ミルナが驚き立ちすくむ。

「驚いたか。あれが我々の研究のスタートといっていい。実験体だ」

「なに?」

スタークがいう。

「思い出した。あの人はモンスター研究のスペシャリスト、シュライデン博士。
今あるモンスターの生態なんかすべて、ほとんどがこの人が関係してるの」

ミルナが言った。

「そうだ。我々は普段はモンスターの研究に力を入れているが、その時ある
事を発見した。・・・根源の欠片というのを、ご存知かな?」

老人がいきなり、落ち着いた口調でいった。

「根源の欠片?」

サラが不思議そうな顔で言った。

「知らんのも無理はない。根源の欠片の存在はどんな文献にも載っていない。
だが、その存在はどの時代にも世界に影響を与えていた。

根源も欠片は誰もが僅かだが持って生まれてくる。
同じ根源の欠片でも真逆の性質を持つ。
この世界を憎む『憎悪の欠片』とこの世界を愛する『平和の欠片』

だがそのほとんどは
欠片の力を解放せずに、息絶える。その力を偶然解放できたものを
天才、仙人、神の子などと言われてきた。

だが、稀に人よりも多くその力を持って生まれてくる子がいる。
それは世界に必ず、憎悪の欠片と平和の欠片に1人ずつ現れた」

シュライデンはさらに続けた。

「憎悪の欠片を持つものはこの世界を消そうと動いた。
平和の欠片を持つものはそれを阻止するために動いた。

一体なぜか?それは、この世界の始まりから始まっている戦いが原因されている」

この世界の始まり・・・。
その言葉にミルナとスタークはハッとなり固まる。

「知っているようだの。竜人族に伝わる言い伝えに出てくるこの世界を造ったと言われる
白阿神・ジルストと黒吽神・ジスペルじゃ。

平和の根源はジルスト、憎悪の根源はジスペルによって生まれたもの。
2匹の戦いは今も続いておるのじゃ。時代から、時代にあらゆる姿になってな。
私はずっと探していたのだ。共鳴者と呼ばれるこれらのことを」

そこまでいうと、シュライデンは声を上げていった。

「そして、今ここにその一人、憎悪の根源の欠片を持つソニックに出会えた。
これで、私の研究は更に進むのだ!!」

ソニックを包んでいた黒い煙が一気に晴れた。

「な・・なんだありゃあ」

スタークは自分の目で見たものを信じられず言った

ソニックの姿はしっかりとしているのだが、体は黒いオーラで覆われている。
それだけで、ソニックだが誰だけわからなくなってしまった。
唯一変わったのは、尻尾が生えたぐらいだ。

ソニックは自分の体を確認するかのように、自分の指を動かす。
尻尾がクネクネと動く。

「ははは!!やってしまえ。ソニック」

シュライデンがいうが、ソニックはピクリともしない。
しかし、瞬間ソニックそ姿が消える。

—スパン!—

何かが切れる音がしたかと思ったときには、シュライデンの首が飛んだ。

<人間如きが我に命令するとは、愚の骨頂だ>

「・・・・」

ミルナはショックで声もでない。サラも放心状態だ。
唯一スタークは太刀を握り締めて構えている。

—ヒュン—

ソニックがまた消えた。スタークが辺りをみわたす。

<今のも見えなかったのか>

後ろからの声にひかれて振り向く。が、そこには誰もいなかった。
その時背中から視線を感じる。

先ほどまでたっていたとこに、ソニックはたっていた。
ソニックがこちらを見る。その目はとても冷たく、殺気を感じた。

「お前・・ソニックじゃないな」

スタークが震える手を押さえながら言った。

<名などは我には必要のないものだ。貴様らを殺すもの。
それだけ、分かっていればいいだろう>

ソニックはそういうと、また姿を消えた。
その瞬間

—スドオオン!—


バトル場を覆っていた柵が壊れた。そこから現れたのは、白く輝く
翼の生えた馬だった。

<ついになってしまったか。ソニックよ>

ベリウスが静かにそういう。ソニックは嬉しそうに

<会いたかったぞ、今こそ貴様の命をたってやろう>