二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊  ( No.45 )
日時: 2009/12/05 12:26
名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: glXVlHlM)

「あっ、あそこにルリリとスリーパーが」

 しばらく進んだ後、大きな川が見えてきた。その川は茶色く濁り、枝や葉などを運んでいる。流れは驚くほど急で水かさも多かった。その川の手前にルリリとスリーパーがいる。2人とも向かい合っていた。しかも、ルリリの後ろは川。数歩下がれば川に落ちてしまう。ルリリの前には追い詰めるようにスリーパーが立っている。
 何やら2人は話しているようだ。話し声はこちらまで聞こえる。

「スリーパーさん、お兄ちゃんはどこ?」と不安そうにルリリが聞いた。

スリーパーは首を横に振ると、「ごめんな、ここにお兄ちゃんは来ないんだよ。おれは、おまえを騙していたのさ。ほら、あの濁った川の中にキラリと光る物が見えるだろう。あれは、あるポケモンが隠したお宝じゃないかって噂されているんだ。けれど、おれは水タイプじゃないから泳げない。だから、おまえに頼みたいのさ」と、余裕そうな表情で言った。

 騙されていたことがわかったルリリは目に涙を溜めて逃げ出そうとするが、スリーパーに尻尾をつかまれて動けない。

「おとなしく協力するんだ。でないと、どうなるかわかっているのか」

 スリーパーが脅した。そして、1歩ルリリに近づく。ルリリも1歩後ろへ下がる。川が後ろへ迫る。スリーパーが突き落とせば、ルリリはすぐに川に落ちるだろう。
 ルリリは痙攣を起こしたように震え、声を絞り出すように叫んだ。

「や、やめてっ! 助けて!」

 同じだ。あの不思議な夢と……。何もかも。
 その様子を見ていた私は胸がぎゅっと熱くなった。“助けなきゃ”という思いがみるみるこみ上げてくる。

「ミニリュウ、行こうっ」

 ミニリュウも私と同じ思いを抱いていたのか、私が言うと唇をかみ締めて強く頷いた。私たちは決心をすると、スリーパーの前へ出る。私はルリリが川へ落ちないように、川から離れた所まで背に乗せて運んだ。

「おいっ、スリーパー! 私たちは、探検隊だ。あんたがお尋ね者ってことを知っているんだからね! おとなしく観念しなさい!」

 私はスリーパーをひるませようと大声で怒鳴り、後ろで震えているルリリを撫でた。スリーパーは一瞬慌てた表情をしたが、すぐにニヤリと不気味に笑う。

「ほおう? それで、おまえたちはおれをどうするんだ? 倒して捕まえるのか?」

「あっ、当たり前じゃないか!」

 ミニリュウが言い返した。怖がりのミニリュウがたくましくなったなーっと思って、ミニリュウを見るとかすかに震えている。あれ、やっぱり怖いんだ……。私はミニリュウの目を見た。体は震えているけれど、目には燃えるような強い意志が宿っている。きっと心の中では“助けなきゃ”と思っているのだろう。スリーパーの眼差しにひるんでいるだけだ。
 ——ミニリュウなら大丈夫。私も大丈夫。きっと勝てるよね。

 ミニリュウが震えているのに気づくと、スリーパーはお腹を押さえてクククッと笑い出した。かなり余裕だ。

「怖いのか? そうか、おまえたち、お尋ね者を捕まえるのは初めてなんだな。新米か。フフフッ、そんなおまえたちにおれが倒せるのか?」

〜つづく〜