二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 永久の残像  【REBORN】 ( No.11 )
日時: 2009/12/29 21:00
名前: まゆか (ID: TEX5izSi)

+第5夜【Nel corridoio del sole di mattina】+


早朝の、誰も居ない廊下を———————ゆっくりと一定のリズムで進む、二つの足音。


「雛さん。もしかして、緊張とかしてますー?」

「.......................別に」


フランは雛が付いて来ているかを確認しながら、ふと思った事を口に出してみた。

だが一方の雛は、同じように並ぶ窓に視線を向けたまま、適当に相槌を打っただけ。

〝まぁ、雛さんは緊張なんてしませんよね〟と、フランが密かに苦笑していると、雛が怪訝そうに問いかけて来た。


「.....................ヴァリアーのボスは、そんなに恐ろしいのか?」

「んー......................まぁ、ヴァリアー内 暴力は凄まじいですけど。何でですか?」


「昨日の雨のヴァリアー幹部の様子を見て、少し気になっただけだ」


そう言うと雛は、フランの背中に向けていた視線を、また窓の方へと移してしまった。



今朝は、雛がザンザスに呼ばれたため、フランも同行する事になったのだ。

——————まぁ、ヴァリアー幹部 全員がボスに呼ばれていたので、フランにとって大差はなかったのだが。



「スクアーロ作戦隊長は、................... 慣れ ですかね」


「.................慣れ.................」



———————————————物を投げられる事に慣れるなんて、愁傷な奴だな。


と、そんな考えが浮かんだが、雛はあえて口には出さなかった。


********************


「あっ、ここですよ」


それから少し歩くと、相変わらず窓の向こうを見ていた雛の耳に、そんな声が聞こえる。


反射的に顔を向けると、そこにはドアを開きながら、雛を手招くフランの姿が見えた。


少し開いたドアの向こうからは、相変わらずのスクアーロの怒鳴り声と、楽しそうに笑うベルの声。

そして、考えたくもないようなガラス・金属が割れる音が聞こえる。



——————————————こんな奴らと、本当に仲間になんかなれると思うのか?



心の中で、誰かがそう囁いた気がした。


すると、立ち止まって動かない雛を不自然に思ったのか、フランが不意に顔を覗き込んで来る。


「雛さん?................どうしたんですかー?」


「!............べ、別に............その.............」


突然のフランの行動に驚き、つい言葉が詰まってしまう。

思わず顔を俯かせると、頭上から押し殺したような笑い声が聞こえて来た。


「........................何だ」


「ハハ.......っ..............いや、雛さんも女の子なんだなぁっ、と思って」


「...............それは、私に対しての敵意と受け取って良いんだな?」


明らかに怒りを含んだ雛の声に、フランは平気な様子で「冗談ですよー、冗談」と、口を開く。


からかうようなフランの言動に眉を寄せながらも、雛はゆっくりとドアへ歩き出し———————
その直後、ふと暖かい温もりを感じた。



「雛さんって、ホント天邪鬼ですよねー」



【君って、本当に天邪鬼なんだね】



フランのその言葉に、雛はピタリと足を止めた。

すると、髪を撫でられた感触がした後、フランが先にドアの向こうへと消えて行く。


どうやら、先程の温もりはフランの手だったようだ。



—————————————やっぱり、お前とフランは どこか似てるよ。



前から思っていた事だったが、改めて実感させられると、微妙な気分になる。

だが雛は、その〝微妙な気分〟の正体が分からないまま、フランを追ってドアの向こうへと歩き出したのだった。


続く。。。



タイトルの意味【朝日の廊下で】