二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 ( No.32 )
日時: 2009/12/31 20:18
名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: IoxwuTQj)

 と私たちを褒めた。
 普段褒めないぺラップに褒められたので、なんだか恥ずかしく心が痒くなって私は下を向いた。「頑張ってよかった」と心から思う。「頑張った後の喜びは大きい」とはこのことだ。

「おい、なにやってるんだ。ついてきな♪」

 恥ずかしくて照れているとぺラップはもう歩き始めていた。正確には、「飛び始めていた」だ。鳥ポケモンのぺラップなら目的の場所まであっという間に飛んでいけるけど、私たちの事を気遣って地面スレスレを飛んでいる。
 私とミニリュウはぺラップを急いで追いかけた。

「ねえ、ぺラップ。どこに向かっているの?」

 私は聞いたが、その必要はなかった。だって、ぺラップは私たちが歩いてきた道をそのまんま戻っているから。ビードルと戦った場所、オレンの実を食べた場所が歩いていくうちに過ぎていく。幸い、敵ポケモンは現れなかった。

 やがて歩いていくうちに岩場の入り口まで戻ってきた。ちょっと岩場を歩いただけなのに、私とミニリュウはまるで登山をした後のように息が上がっている。やはり、疲れがとれていないのだろう。
 入り口にはギルドのメンバー全員がいた。みんなザワザワとして落ち着きが無い様子だったけれど、私たちが戻ってきたことがわかるとすぐに駆け寄ってくる。そして、私たちを円を描いて取り囲んだ。

「キセキーズぅぅぅ……。心配したでゲスよぉ」と涙目のビッパ。ちょっと可愛い。「無事だったんだな、よかったよかった」と相変わらず大声のドゴーム……みんなが心配してくれている。一匹を除いては。その一匹とは赤いザリガニだ。

「ヘイヘイ! おまえらのために来たんじゃないからな。お尋ね者がどうなっているか心配で来たんだからな」

 と、ハサミを鳴らしながら言う。
 キマワリがにっこりと笑った。

「よく言うですわ。自分が一番慌てていたくせに。やっぱり、最初にいっしょに冒険した後輩として、心配なんですわよねー♪ このツンデレ♪」

 キマワリの言葉にどっと笑いが起こった。私とミニリュウも笑ったが、それよりも嬉し涙がこぼれた。つい昨日仲間になったばかりなのに、こんなにも心配してくれたなんて。そんな私たちを、ギルドのみんなは黙って見つめている。

「おまえたち、グラエナ保安官だよ」

 ぺラップに呼ばれて私たちはきりっとした。涙を拭いて、ギルドの輪から抜け出すとぺラップのそばへ行く。そのぺラップのそばにいる四匹のポケモンたちを見て、少しばかりぞっとした。

 一匹は大きい狼のようなポケモンで、色は黒と灰色だ。その毛並みはつやつやでフサフサ。目は鋭く、その口からは大きな犬歯がむき出している。「グルルルル……」という、うなり声は見る者を怖がらせた。

 もう三匹は、さきほどの大きい狼を子犬サイズにしたポケモンだ。小さいながらやはり狼。牙は大きい。その三匹がスリーパーとスリープを取り囲んでいる。

「グルルルル……。私はグラエナ保安官です。そこの三匹はポチエナ。お尋ね者の逮捕のご協力、ありがとうございました。またよろしくお願いします。グルル……」

 グラエナという大きい狼は私たちに挨拶をすると、ポチエナたちに目で合図をした。ポチエナたちはスリーパーたちに言う。

「さあ、こっちに来るんだっ」

 そして、岩場からグラエナ保安官、ポチエナたち、スリーパーとスリープは去っていった。
 それにしても恐ろしかった。あの牙で獲物をしとめるのだろう。

「ミーシャさん、ミニリュウさん!」

 グラエナ保安官たちが去った後、ルリリとマリルがやってきた。ルリリは、その手に木の実を持っている。

〜つづく〜

Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 ( No.33 )
日時: 2009/12/31 20:19
名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: IoxwuTQj)

「ほら、ルリリ。お礼を」

 マリルがルリリにささやくように耳元で言った。
 ルリリは頷くと、手に持った木の実を差し出してくる。その木の実は合計五つで、それぞれ違った形、色をしていた。

「あのっ、本当にありがとうございました。こんなものしか、ぼくたち持っていないけれど、受け取ってください」

 五つの木の実のうち、二つはオレンの実とモモンの実だったが残りの三つはあまり使ったことのない実だった。
 一つはカゴの実。上半分はペンキで塗られたように青く、下半分は青く塗られる前の茶色がむき出していて栗(くり)のような形をしていた。ねむりの状態異常を回復する。
 もう一つはクラボの実。小さく丸い赤の実からバネのようにクルクルした茎が生えている。まひの状態異常を回復する。
 最後はチーゴの実。青緑色の苺のような形をしていて、やけどの状態異常を回復する。

「この五つはそれぞれ、オレン、モモン、カゴ、クラボ、チーゴの木の実です。冒険に役立つと思って、家から持ってきました」

 そうか。ルリリが岩場からいったんいなくなったのは、家にこれを取りに戻ったんだ。なんだか受け取りにくいな。

「そんな、いいよ。たいしたことはしてないよ。木の実は自分たち用にとっておいて」

 私は木の実を貰うのを拒んだ。だって、申し訳ないから。私が断ると、マリルとルリリは困ったように顔を見合わせた。……やっぱり貰った方がよかったのかな?

「いいえ、受け取ってください」

 優しく透き通った声がした。見ると、マリルとルリリの容姿に似たポケモンがいる。そのポケモンは青く卵のような体をしていて、その体からウサギのように長い耳が二つ生えている。マリルリだ。確か、マリルリはマリルの進化系だったような気がする。そういえば、マリルもルリリの進化系だ。

「私はマリルリと言います。このルリリとマリルの母親です」

 マリルリはゆっくりと私とミニリュウの前に寄って来る。そのマリルリのお腹にマリルとルリリが抱きついた。やっぱり、お母さんが大好きなんだ。

「助けてくださってありがとうございます。この子たちは病気がちな私を助けようとして、騙されました。原因は私です。私からもお願いします、どうか木の実を受け取ってください」

 マリルリは深く頭を下げた。長い耳が前に垂れる。私とミニリュウは慌てて木の実を受け取った。

「頭を上げてくださいっ。……木の実をありがとうございました。ええっと、これからもトレジャータウンなどで会ったらよろしくお願いします」

 ミニリュウが丁寧にお礼を言った。私も頭を下げる。
 マリルリは優しく微笑むと、子供たちを連れて帰っていった。なんだかほっとして私は息を吐く。

 ぎゅううう……。

 安心すると、私のお腹の虫がなった。ミニリュウがクスクス笑う。

 ぎゅううう……。

 そんなミニリュウのお腹の虫もなった。
 そういえば、私たちはお昼ご飯を食べていなかった。お腹が減るのも当たり前だ。ミニリュウがあはは、と笑う。

「安心したらお腹がすいちゃったね、ミーシャ。ギルドに戻ろうよ」

「そうだね」

 私は軽く返事をすると、木の実を抱えなおす。

「なんだなんだ。バトルには勝ったけど、ひもじさには勝てないなあ」

 ドゴームがからかった。どどどどっと笑いが起こる。私たちはそのまま笑いあいながらギルドに向かう。

 本当によかった。無事に解決して——。

〜Memory5終了〜