二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 あけおめ^^ ( No.43 )
日時: 2010/01/01 22:28
名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: NihAc8QE)

「ミーシャ、ミーシャ。起きてったら」

 誰かに体を揺さぶられて、私は薄目を開けた。ミニリュウが、私を覗き込んでいる。
 そうか、昨夜、話を終えた後に私もミニリュウも寝たんだ。だけど、私はあの“光の歯車”のことを考えすぎて、寝れなかったんだ。ああ、寝不足だ。でも、起きなければうるさいドゴームの声を聞くことになる。

「う、ああ。おはよう、ミニリュウ。早起きだね」

 私は大きく伸びをすると、水が湛えられている石に向かった。そして、ばしゃばしゃと顔を洗う。毎朝、同じ事をするなんて、飽きるなあと思う。
 ミニリュウは、私が顔を洗い終わったのを見ると朝食の入ったバスケットを差し出してきた。

「あれ、ミニリュウはもう朝食を食べたの?」

 バスケットの中の色とりどりの木の実やグミが半分になっている事に気づいて、私は聞いた。
 ミニリュウは、眠そうにあくびをする。

「うん。もう食べた。私、昨日の夜眠れなくて。それで、朝になっても熟睡できなくて、じれったいから早く起きちゃった」

「私も寝不足だよー。おかげでミニリュウに起こしてもらっちゃって……。でも、あのドゴームの声を聞かなくて済んだから、まあいいかっ」

 バスケットの中の木の実を口に入れながら、私はドゴームの声を思い出して、苦笑いをした。あの声を朝から聞くなんて、もうこりごりだ。

「おれの声を聞かなくて済んだ……だって?」

 き、聞き覚えのある声が聞こえた。早起きしたんだから、違うはずだ。空耳だよね?
 ミニリュウを見ると、青ざめた顔をして引きつった笑みを浮かべている。

「おまえたちの『早起き』は、ギルドの『早起き』の何十倍も遅いんだよ————っ!!」

「わ————っ!! ごめんなさい——っ」

 私たちは叫びながら謝った。そして、ミニリュウはトレジャーバックなどの冒険品を用意し、私は朝食を口に入れる。

「まったく、まだ朝礼は始まっていないから、早く支度しろよ」

 ドゴームは、そう言い残すとテントから出て行った。
 私たちは顔を見合わせると、ふっとため息をつく。

「結局、聞いちゃったね。あの声……」

 ミニリュウが、ぺたんとわらの上に座り込んだ。
 私も、座り込む。ただでさえ寝不足だったのに、あんな声を聞くなんて。頭の中の「もうダメ!」の合図の鐘が、ゴーンと一回鳴った。

「テントの中にいてもしょうがないし、外に出て早々と整列しようよ」

 私が言うと、ミニリュウはこっくりと頷いた。

「わああああ、快晴だあっ!」

 外に出ると、私たちは思わず声を上げた。
 空は、見渡す限りの済んだ青。他の色と混じりがなく、雲一つ見当たらない。私たちが、海の底に立って、真っ青な水面を見上げているかのようだ。そう、地上の海の中にいるかのように。そして、地面にある水溜りは、鏡のように空を映していた。
 生暖かい風がそよそよと吹いている。ラベンダーやレンゲは、昨夜と同じで風に身を任せて踊っていた。地面の土の一粒一粒は、雨を吸い込んで独特のいい香りがして、私たちを落ち着かせる。木々に付いているたくさんの水滴が、太陽の光で輝いてイルミネーションのように見えた。

 夜も素敵だけど、太陽の出ている時間も色々な驚きを与えてくれる。こんな自然の宝を守っている光の歯車って、いったいどんな力を持っているんだろう……。

「あっ、キセキーズですわー! おーい、おーい!」

 プクリンたちのテントの前にいる、キマワリの声が聞こえた。続いて、他の仲間たちの呼ぶ声も聞こえる。

「今、行くよー!」

 私とミニリュウはにっこり笑うと、駆け足でみんなの方へ向かった。

〜つづく〜
☆次からやっと、Memory5の題名「探検」の話になります。