二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 あけおめ^^ ( No.48 )
- 日時: 2010/01/01 15:49
- 名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: 5xRuHQIJ)
朝の誓いの言葉を言い終えると、いつものようにギルドのみんなはそれぞれの仕事に取り掛かった。今日は、昨夜の嵐のおかげで丘の地面がぐちゃぐちゃになっていたり、木々が倒れていたりしているのを直す仕事に大半のポケモンがあてられた。
私たちも、そんな雑用の仕事にあてられるのかと思って、テントの前でうんざりしていると、ぺラップがいつもと同じく私たちを呼んだ。私たちはやる気がなさそうにトボトボと歩く。
「なんだ、おまえたちはっ。そんなやる気がない顔をして。しっかりおしっ!」
ぺラップが叱りつけた。
ミニリュウが尻尾で地面をいじりながら答える。
「だって、今日の仕事はどうせギルドの丘の修復の仕事でしょ。つまらないんだもん」
「何言ってるんだよ! 今日の仕事は探検だよ♪」
「ええっ!」
私は驚いて声を上げた。ミニリュウも地面をいじるのをやめ、まっすぐにぺラップを見ている。
つ、ついに! 私たちキセキーズも探検の仕事を出来る。どんな仕事だろう。洞窟に眠っているお宝探し? 謎解き?
「驚いただろう、フフフッ♪ おまえたちの、昨日のお尋ね者退治は見事だったからな。親方様が探検の命令を出したのだ♪」
「ほんと!? やったね、ミーシャ!」
ミニリュウが瞳をキラキラさせ、頬を赤らめて笑いかけてきた。私も嬉しくて、にっこり笑う。
ぺラップもつられてニコニコしながら、羽をバサバサと動かした。
「じゃあ、おまえたちに探検してもらう所を言うから、不思議な地図を開きな。いいかい、よく聞くんだよ」
「わかった」
答えながら、ミニリュウがトレジャーバックから地図を取り出した。パサパサという音を立てて、丸めていた地図を開く。
ぺラップが、地図の探検する部分をくちばしで指した。
「今回の探検場所は、ここだ。“迷宮の樹海”と呼ばれる森さ。その名のとおり、海みたいに広い森だよ。で、ここは木がバカみたいに生い茂っていてね、前が見えないくらいなんだ。そのためか、入る者を迷わせる。でも、そんな森だからこそお宝が眠っているんじゃないかといううわさがあるんだ」
「え、ちょっと待ってよ。そんなに広い森じゃあ、ただ迷うだけじゃないの?」
ミニリュウがぺラップの説明の最中に口を挟んだ。ぺラップは、目をきっと細める。
「そんなの私が知ったこっちゃないよ! その場所に隠された謎を解きながらお宝を探す。それが探検隊だろうが」
「もし、森で迷っちゃったら?」
広い広い森を思い浮かべながら、私はぼそっと口を開く。
ぺラップは、「それなら大丈夫だ♪」と言うと、小さな葉を私に渡した。その葉は、葉脈が平行になっていて色は鮮やかな黄緑だ。
「もし、迷ったらこの葉を使って音を鳴らせばいい。ま、草笛ってわけだね。そうすれば、親方様の友だちの鳥ポケモンが来て、助けてくれる。さあ、鳴らしてみな♪」
「えーっ、私、草笛なんて出来ないよ。ミーシャがやってね」
ミニリュウが私に押し付けた。
私は仕方がなく、葉を口に当てて息を吹く。葉が小さく振動した。
ピプウウウウゥゥゥゥゥ———……。
澄んだ草笛の音がぶわっと響き渡った。ギルドの丘にいるポケモンたちが、いっせいにこちらを見る。驚くことに、空から小さな鳥ポケモンたちが集まってきて鳴き声をあげ始めた。
なんだろう、この感じ。胸がうずうずする。過去の記憶が、草笛と同じようにかすかに音を立てた。何か思い出せそう。だけど、思い出せない。記憶の扉が、開きそうで開かない。じれったくってしかたなかった。
「おお、うまいじゃないか♪ 草笛につられて鳥ポケモンが集まってきたぞ。こんな感じで、森でも使うといい。親方様の友だちは、もっと大きいからな」
ぺラップは言うと、テントの中に戻ってしまった。
私は、過去を思い出そうとして必死で、ぺラップの話など聞いていなかった。
「すごいね、ミーシャ! 私、感動しちゃった。さあ、初めての探検へ行こっ!」
「あっ、うん」
ミニリュウに合わせて返事をしたが、頭の中は過去と今とがグルグルと渦を巻いていた。
〜つづく〜