二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【BLEACH】黒猫綺譚——onigoto—— ( No.6 )
日時: 2010/01/23 17:59
名前: 鬼姫 ◆GG1SfzBGbU (ID: S78i8iJk)

【第二話】黒幕会議



「やっと、計画が動き出したみたいだね」

「そうですなぁ、ボクとしてはもうちょい早いかと思うとったんですが」

「まぁそれもそうだね、でも急いでも何も始まらないさ」

人目に付かない裏路地に二人の死神がいた
茶髪に黒縁眼鏡の白い羽織を着た男
白髪に長身痩躯の白い羽織を着た男
お互いに周りを気にする様子もなく淡々と会話を続ける
彼らは新しい世界をつくるために動き出していた
理想のために全てを犠牲にする覚悟で



茶髪の男が問いかけた

「そういえば…キミの部下はどうだい?」

白髪の男は首を傾げる

「部下ってどっちのです?」

その言葉に茶髪の男は苦笑を浮かべた

「猫の子の方だよ」

疑問に返された答えを聞いて白髪の男は僅かに表情を曇らせる

「あの子がどうかしはったんですか?」

一つの答えにまた別の疑問が浮かぶ
それを素直に口に出すと意外と本心のままの不満げな声音になってしまった

それを気にしていないのか気づいていないのか
茶髪の男は柔らかな微笑を浮かべた

「いや…あの子は使えるかい?」

予想外の言葉に白髪の男は戸惑いながらも無言で頷く
それを見て茶髪の男は満足そうに頷き返した

「そうか、なら近々出番がありそうだね…鍛えておくといい」

それだけ言って茶髪の男は白髪の男に背を向ける
まだ何か言いたげな白髪の男に振り向かぬまま言葉をかけた

「ここで会っているのを気づかれないように帰るんだよ…後からいろいろと面倒だからね」

結局白髪の男の返事を聞かぬまま茶髪の男は姿を消した


後には複雑な思いを抱えた白髪の男が残される
部下を使うことに躊躇いはないが猫の子だけは特別だったから










市丸と白哉との一件があったその日の夜
いつものように黒猫は市丸の部屋にいた

先に敷いてある布団の上に座り、床に広げた本を読んでいた
文字をおうのはとても面白く、市丸にいい加減止めろと言われるまでは止まらなかった

市丸はというと、黒猫と丁度反対側に位置する机に向かい頬杖をついたままぼぉっとしていた
何かを悩んでいるような、考え込んでいるような表情で暫く黒猫を眺めていたが
覚悟を決めたように口を開いた

「黒、ちょっとえぇ?」

市丸からの問いかけに慌てて黒猫は本から顔を上げる

「は、はい!何でしょうかっ」

慌て過ぎて声が裏返る
その声を聞いて可笑しそうに笑いながら市丸は口を開く

「今日な、黒に話しておかなあかん話聞いたんやけど」

その言葉に黒猫の動きは止まる
さっきまでのあどけなさは消えて、冷静な見た目以上に落ち着いた雰囲気になる
それを目にして今度慌てるのは市丸の方
ハッとしたような表情になり手をヒラヒラと振ると苦笑を浮かべる

「大丈夫、黒のことやないから」

その言葉に、黒猫の雰囲気も元の緩いものに戻った
それだけのことに安堵する
やっぱりこの子にはこのままでいて欲しかった
それでも、やるべきことはやらねばならない
自分の信じる人のために

「ルキアちゃん、おるやろ?」

「はぁ。今現世に行っているんですよね?」

市丸の唐突な言葉に黒猫は思わず間抜けな返事を返して、話題の人物の現状を訪ねた

その言葉に市丸は曖昧な返事を返す
いきなり立ち上がって黒猫の前まで来ると、向かい側にしゃがんだ
驚いて元から大きな瞳を見開いた黒猫の瞳を見つめながら、市丸は口を開く

「ルキアちゃんな、あっちで重罪侵してもうたみたいやねん。…だから、今からこっちに捕縛されるんやて。六番隊隊長さんと副隊長さんが行くって言っとった」

「へ?」


予想もしなかった市丸の告白に黒猫は表情を失う
感情の籠らない疑問符を返しながら黒猫の脳裏に浮かぶのは彼女の顔


貴族でありながら自分と初めて仲良くなってくれた同年代の彼女
姉と慕うことを許してくれた心優しい彼女が重罪?

何かの間違い
そう思いたかった



黒猫の意識は彼女と出会ったあの日へと迷い込む