二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 白ノ娘 ( No.1 )
- 日時: 2010/02/12 17:55
- 名前: リリアン (ID: B6N9vk9k)
白イ娘 パート1
その大陸の中で、一番美しいと言えば、何と言っても緑の国だ。
広大な土地と、生い茂る緑。
そして、その緑に合わせるかのように、緑の国の民達は皆、青緑色の髪をしていた。
そんな緑の国の小さな女学校に、皆とは少し違った風変わりな少女が通っていた。
ハク・ヨワネ
それが彼女の名前。
弱々しそうな表情であったが、顔立ちはよく、美しい少女だった。
だが、彼女とすれ違うたびに、聞こえるのは、非難の声であった。
『何?あの子。』
『髪が真っ白じゃない。』
『緑の国の恥だわ。』
そう、彼女の髪は、皆と違う白い髪。
そのせいで、彼女の周りには、人が寄ってこなかった。
ちょっと陰口を囁くだけならまだしも、よって集っては、ののしるような生徒もいた。
「ちょっと、そこのあんた!」
ハクが、呼び止められた先を見る。
そこでは、五人ほどの生徒が、獲物を見るような目でハクを睨んでいた。
彼女らは、生徒会のメンバーだ。
「えっ、・・・はい・・・。」
「あんた、生徒会ブラックリストナンバー1の、ハク・ヨワネね。」
「ブラックリスト?!私、そんな悪い事なんて・・・。」
ハクは、おどおどとしゃべった。
生徒会のメンバーの中から、一番偉そうな少女が前に進み出る。
「私は、生徒会長のメグ・リョクイです。」
「メグさん。私は何故、ブラックリストなんかに・・・・?」
と、その瞬間、メグは、ハクの白い髪をつかんで言った。
「じゃあ、あんた、何でこんな白い髪してるのよ?。」
「えっと、これは、生まれつきで・・・・・・。」
「生まれつきですって?緑の国の民は、青緑の髪のはず。少なくとも、緑なはずよ。」
「緑の国の恥よ!」
「そうよ!謝りなさいよ!」
後ろの少女達も、声を上げた。
メグは、にやりと不気味な笑顔をこぼし、そして、白の耳元でささやいた。
「そうね。謝りなさい。『生きていてごめんなさい』って。」
「えっ!?」
生徒会の少女達が、白に襲い掛かる。
「さあ、言いなさいよ。土下座して、『生きていてごめんなさい』ってね。」
ハクには、どうする事も出来なかった。
言うしかなかった。
それ以外、逃れる術は無かった。
「生きていて・・・・・・ごめんなさい。」
一気に、周りから笑いがこぼれた。
その時、皆の集っている後ろから、透き通った声が通った。
「何の騒ぎ?」
「その声は、ミク様?!。」
野次馬をよけて、仲裁にやってきたのは、ミク・ハツネ。
この学校の理事長の娘だった。
外見や要旨も完璧で、皆の憧れの存在だった。
「皆して、何をやっているの?」
「この女は、白い髪。国の恥です。」
ミクは、そこに倒れこむ白い少女を見た。
頭のいいミクには、その娘が、本当に悪い人では無いと分かった。
ミクは、少し考えてそして言った。
「確かに、村では風変わりかもしれませんが、町には異国の人などたくさんいますよ。」
「で、でも・・・。」
「貴方達のやりたい事が済んだなら、逃がしておやりなさい。」
「ミク様・・・・・・・。」
「いつまでも集っている必要はありません。見苦しいですよ。」
周りの生徒は、少しざわめくと、次第に立ち去っていった。
生徒会のメンバーも、逃げるように帰って行った。
「もう、帰って平気ですよ。」
床で震える少女に、そう声をかけて、ミクは立ち去った。
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