二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 白ノ娘 ( No.5 )
日時: 2010/02/13 16:15
名前: リリアン (ID: glXVlHlM)

緑ノ娘ノ決断 パート1


「失礼します。」
「入りなさい。」

理事長室に入ってきたのは、ミクだった。
理事長は、自分の娘を見て、満足そうに微笑んだ。
ここに来るのを待っていたかのように。

「どうしたの?ミク。」
「お母様・・・いえ、理事長。お願いがあります。」
「ん?」
「ハク・ヨワネをいじめから保護してください。」
「あの・・・白い髪の?」

理事長は、よほど大切な事なのだと察知し、キーボードを打つ手を止めた。

「はい。私が、毎日あの子の家に行っているのはご存知でしょう。」
「まぁ、本当?」
「私は、理事長としてはともかく、お母様として、噓を申し上げた事はありません。」
「そうだったわね。」
「そして、あの子は、『白い髪』と言うだけで、いじめを受けています。」

ミクが差し出したのは、そのいじめの証拠。
生徒会のメンバーが面白半分で取ったものを、徴収してきたのだ。

「あの子は、居たくてここに居る訳ではないのです。肉親も、母国も無くした彼女が。」
「ミク・・・ここは、私立の学校よ。公立じゃないの。」
「どういう事ですか?」
「公立は、全てを教育委員会に任す。だけど、私立は違う。全て学校が作っていくの。」
「つまり・・・・・・・。」
「そう。貴方達生徒がね。」
「しかし、あの子には、もう味方がいないのです!」

ミクは、すがるように言った。
理事長は、優しく笑うと、『生徒』ではなく、『娘』という視点で囁いた。

「いるじゃない。ミク、貴方という味方が。」
「えっ?」
「貴方が助けてあげればいいのよ。あの少女を。母さんは、貴方を信じるわ。」
「『お母様』・・・・。」
「考えるだけじゃだめ。実行しなきゃ。私は、止めませんよ。」
「ありがとうございます。決心がつきましたわ。理事長。」
「良かったわ。貴方も、生徒の一員ですもの。」

ミクは、一礼すると、言った。

「二人分の、退学許可書をいただけませんか?」
「よろしい。」

理事長は、退学許可書を渡した。
そこには、ミク・ハツネとハク・ヨワネの二つの名前と、理事長の印が押してあった。

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