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カジ　その４



「そうだな……人探し、だ」

「人？　君と同じ種族じゃないのか？」

「付け加えよう。
　人と、仲間探しだ」

ピンと来る。
人、の響きには多少の重さがあった。
どうやら主、もしくはそれに近い関係で、人間であるのは間違いない。

……が、仲間とは、カジと同じく人外のものらしい。
訝しげな目を向けると、今度は鼻の頭を掻いた。

「ここへは簡単には来れないんだけどね。
　何かあった？」

「でっかい事故だ。
　随分とエグい目にあったからな、仲間も無事かどうか分からん」

「人、は？」

「……なお分からん」

言葉に嘘は見えない。

「……ここから立ち去った時、何考えてた？」

「何にも。
　これ以上迷惑かけるわけにはいかないと思ってたからな。
　どこか人里にでも、と」

「迷惑……ね。
　にしては飯食ってるけど」

「美味い飯だ」


人里には知り合いがいる。
明日にでも会いに行くから一緒に来い。

カジもそれで了解した。
やれやれと頭を振って外を見る。

既に夕焼けは沈み、竹林が風に揺れている。
ざわざわと鳴る葉っぱの音が、妙に騒がしかった。