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ご主人　その４



「語り手、上手いじゃない」

「ん、まあな。旅のレポートとかも書いてたし」

不思議な空間、俺は周りから視線を浴びつつ外を覗いていた。
すぐそば、足下、真上に目。
最初は仰け反ったが、慣れるとそんなに怖くない。

「結構楽しいんだぜ、コレ。
　……でも、会えないのはキツいな」

「でしょうね」

俺はさっきまでの話を回想する。
紫の言葉はとんでもなくて、でも何故かすんなり納得できた。

ぱんと頬を叩き、俺はメモを構え直す。

「ま、それも仕方ねぇな。
　アンタが手伝ってくれるんだし、俺は出来る事をするまでだ」

「……頑張ってね」

静かに、紫が言った。