二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.21 )
- 日時: 2010/02/21 22:50
- 名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)
ゴツ その4
日差しが上の方へ上がる頃、ゴツはのろのろと起き上がった。
体にかけられていた布団を払い、あくび混じりに部屋を出る。
もともと野宿に慣れていた上、巨体が横になると大きくスペースを取る。
一度は断ったのだが、「流石に野ざらしは悪い」と妖夢は譲らなかった。
みしみしと縁側から音がする。
潰れるのではと心配していた矢先、庭に妖夢の姿を見つけた。
「刀の修行か?」
「あら、起きたの」
視線を下に寄越すと、微笑んでいる幽々子がいた。
体が大きいと、こういう事が多い。
「寝床助かった」
「ま、あの子が聞かないもんだから。
一息ついたら、朝ご飯よ」
もう一度、妖夢に目を向ける。
空に向けて振り回す刃は、未熟ながらも迷いがなかった。
「……んんん、だがちぃと軌道が甘いな」
「あら、手伝うんだったらほどほどにしてよね。
私そろそろお腹減ったわ〜……」
「あ、ゴツさん起きられたんですか」
「おぉ、昨日はありがとな。
……おい止めんな、来いよ」
軽く挨拶をして、ゴツが身構える。
妖夢は一瞬、躊躇う素振りを見せた。
「え、でも」
「構わねぇよ。最近なまり気味でな、ぶった切るつもりで来い」
くいくい、と手招きする。
妖夢はやはり迷っていたが、不意にゴツが手を突き出してきた。
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.22 )
- 日時: 2010/02/22 18:44
- 名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)
ゴツ その5
「事故、ですか」
「んぁ。本当は仲間もいるんだが……はぐれちまってよぅ」
一戦を交え朝食をとる。
その後、闘いなど無かったように、ゴツと妖夢は庭仕事に戻っていた。
箒を掃きながら、妖夢が口を開く。
さっきの闘いでは、双方に怪我はなかった。
「どんな世界なんですか?」
「俺らの所か……なんてーか、滅茶苦茶だ」
一瞬屋敷を見て、答える。
幽々子は外出していた。
ゴツの台詞はあながち間違ってはいない。
すれ違い様に因縁をつけられて勝負、などはザラだ。
かと思えば、数ヶ月に渡って平穏な旅路も珍しくない。
「極端ですね」
「ま、俺らは目的がぼや〜んとしてたからな。
もっとガツガツやってる奴らも大勢いた」
再び、ゴツが回想に耽る。
正直なところ、何故あんなユルユルした旅で強くなれたか不思議だった。
「……あの」
妖夢が、気になるように声を上げる。
「ん」
「どんな『旅』だったんですか?」
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.23 )
- 日時: 2010/02/22 22:06
- 名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)
ゴツ その6
「もともと、俺らのリーダーってのは変わりもんでな。
そんなだから、変な奴らばっかり集まっちまったわけよ」
よっこいせ、とゴツが地面に座る。
妖夢も掃くのを中断した。
「俺はその中で、三番目だった。あ、加わった順番な。
当時の仲間はカジさんとたらこ、俺の次にミヤの姉さんが入った」
「お仲間さんですよね……変わってるんですか?」
苦笑いして、ぽりぽりと頭を掻く。
「ま、言ってくれるな。
そんで俺が入った時辺りからよぉ、リーダーの方針が決まった」
その青年は、加えた仲間に夢を語った。
呆気にとられたまま、ほとんどの仲間がそれを聞く。
『俺はなぁ、チャンピオンだとかには興味ねぇのさ。
そんなのより、お前らと旅がしたい』
にこにこと、口の聞けない仲間に告げる。
「口が聞けない?」
「こっちに来て、なんかいきなり喋れるようになった。
もしあの時喋れたら「アホか」って笑ってやれたんだけどな」
青年との旅は、平穏すぎて奇妙だった。
ケンカは買うが、決して売らない。
申し訳程度に『バッジ』は取るが、盗まれかけても平然としていた。
「『バッジ』?」
「チャンピオン、って言ってただろ。
でっかい大会みてぇなもんがあって、それに挑むための資格だ」
盗まれた夜の事は、今でも覚えている。
主人の夢が取られた、と騒ぐミヤは「うるさい」と叱られた。
参入してから日が浅かったミヤは、青年の心情を理解していなかった。
『バッジは有っても無くてもいいんだよ。
それより、低血圧の俺には睡眠時間が一番必要だ』
ぽかんとしたミヤに、当時のメンバー誰もが苦笑した。
しかも次の日、泥棒が捕まった時は
『おいお前! 人の宝物盗みやがって!!』
と青年は怒っていた。
「ひどい人ですね」
「あぁ、ひどい主人だ」
ふっと、二人が笑った。