二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.26 )
- 日時: 2010/02/24 17:36
- 名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)
ミヤ その7
山を登っていた。
なんでとか考える暇はない。
息が、苦しい。
「ふぁはぁぁ」
「ちょっと……アンタ大丈夫なの?」
「な、慣れてな、いんです!」
結構な急勾配に、私はよろよろとなる。
ちらと霊夢さんを見ると、飛んでいた。
……飛
「飛んでる!?」
「いや、当たり前だから」
ここへ来てから、私の常識は滅茶苦茶だ。
私はぐっと唇を噛み締めると、足を踏み出す。
そのままずっこけた。
「アレは、妖怪じゃありません」
目の前に対峙する少女は、伏し目がちに呟く。
どこまで登ったのか、山の横穴には洞窟が広がっていた。
やたら熱い。
そして暗い。
「……随分疲れてるみたいだけど、あなたは?」
「へぇっ……!
あ、私はミヤって言います……はい……」
「アンタ大丈夫なの?」
「……こ、これくらいなら」
「『いつものこと』?」
私はぎょっとして、目の前の少女を見た。
ピンク色の髪をした彼女は、服から伸びている眼のアクセサリーに手を掛ける。
そのまま、微笑んだ。
「こいつは人の心が読めるの。
先言っとくべきだったわね」
「……じょ」
「『常識ってどういう意味でしたっけ』」
私は汗を拭う振りをして、自分の頭を撫でた。
どこかおかしくなってないか、不安で仕方が無い。
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.27 )
- 日時: 2010/02/24 23:19
- 名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)
ミヤ その8
心を読む少女、
彼女は『古明地さとり』と名乗った。
こじんまりとした小さな小屋で、私とさとりさんが向かい合う。
正確に言うと、私の隣には霊夢さんがいるのだが、この熱さのせいか不機嫌だ。
口数も少なく、見て分かるほどイライラしている。
「……『触らぬ神には』?」
「なんとやら……ってやめてくださいよ!」
ぎろりと霊夢さんに睨まれて、私は口を押さえる。
さとりさんはニコニコ笑っていた。
「あなたは珍しいですよ。
普通の人は、私の能力がものすごく嫌なのに」
「生憎、こいつは普通じゃないし人でもないわ」
「う……ものすごく酷いことを言われているのに反論できない……」
この場所は地霊殿というらしい。
【もともと灼熱地獄】で、【ここの床下にはまだ残っている】らしい。
「信じられない気持ちも分かりますけどね」
「良い温泉が湧くのよね〜」
「……温泉って……」
さて、その旧地獄に私達が何の用か?
答えは簡単
「『ここが異変の始まりだから』」
「セ、セリフ取らないでください!」
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.28 )
- 日時: 2010/02/25 17:36
- 名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)
ミヤ その9
影だったと、さとりさんは語る。
私は手で扇ぎつつ、話を聞いていた。
異変の原因……霊夢さんの眼は、既に暇人のそれではない。
「ちょうど『ヤマメ』と話している時でした。
入り口の方から『キスメ』の叫び声がして……行ってみたら」
「『きすめ』さんと『やまめ』さんですか」
「似た名前の奴でもいるの?」
「あ、え、キ……キスと……山だなぁ……って……」
「……」
突き刺さる視線。
……私は人の名前を覚える時に、何かに関連づけて覚えるのだが
「どうしろと!?」
「この空気をどうしろと、だわ」
『影』は実体らしきものを持っていなかったらしい。
ぼんやりとした姿で、最初は門番も気に留めなかった。
が、それは突如として攻撃を開始した。
門番によると、攻撃は目で捉えられず、能力や属性は分からないと言う。
「あんたも対峙したって……」
「はい。キスメが喰らいかけた所に割って入りました。
……でも、やっぱり分からなかったんです」
一瞬、彼女の顔が陰る。
その眼は過去の出来事を追体験してるようで、
しかし若干の恐怖が見えた事に私は怯む。
霊夢さんは、視線をそらしていなかった。
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.29 )
- 日時: 2010/02/25 23:30
- 名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)
ミヤ その10
コピーの話になると、霊夢さんの眼は一層鋭くなる。
私は横で話を聞くだけだ。ぽかんと口を開けて。
「私が割って入った時、アレの放った弾幕はキスメのものにそっくりでした。
次に撃ってきたのはヤマメとほとんど同じ配置で」
「次は、アンタ?」
「……はい。
方法は定かではないですけど、心を読まれました」
さとりさんが目を伏せる。
かと思うと、伏し目がちに私の方をちらりと見た。
そこで私は、さっきみたさとりさんの恐怖の欠片は、彼女自身のトラウマにあると気付く。
昨日の話で紫さんは『トラウマ返し』という言葉を使った。
心を読む能力……恐らく彼女の闘い方は、相手の過去を『悟り』、再現する事ではないか?
そしてそれをコピーされた……
「……あなた、何者ですか」
「え?」
いつの間にか、さとりさんが顔を上げていた。
目を丸くして、先程まで無かった警戒心を滲ませている。
「あなたは今さっきまで私の事を何も知りませんでしたよね。
でも、今の会話から私の戦法を見切った」
「ん、そうなの?」
霊夢さんが私の方を見る。
私は不意の指名にどもりながら、手を振った。
「あ、や、そんな……ちょっと話を聞いてただけですよ」
訝しげな視線をかわすように私は首を振る。
その時ちらりと霊夢さんと目が合ったが、すぐに外れた。
どうしろと?
もう一度私は呟く。
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.30 )
- 日時: 2010/02/26 17:25
- 名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)
ミヤ その11
その人は不思議な人だった。
見方によっては殺伐とした世界で、一つの信念を持っていた。
「いいか? 闘うために強くなるなんて馬鹿げてる。
お前らは、やりたい事のために強くなるんだ」
マシロが入ったとき、彼はそう言った。
笑顔の裏に何か大事なものを滲ませていて、私は気圧された。
同時に思い出す。
マシロは、加入してからぶちぶちと不満を漏らしていた。
(こんなので強くなれるわけ無いじゃん)
就寝、横たわりながら呻くように呟いていた。
でも、その口調に後悔は含まれていなかった。
穏やかな日々
ほのぼのとした旅路
でも私は強くなった。
理由は……やっぱりあの人のせいだろう。
「ミヤ?」
「え」
霊夢さんの声で我に返る。
瞬きを繰り返すと、立ち上がっている霊夢さんが映った。
「話は終わったわ。帰るわよ」
「え、あ、私聞いてませんでした」
「正直ですね」
さとりさんがくすっと笑う。
顔が赤くなった。