二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.43 )
日時: 2010/03/04 19:01
名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)

マシロ その6



「探し人、ですか?」

「そう。はぐれちゃった仲間と、あ〜……アホガキをね」

「あほがき?」

「言い方が悪かった。アホで殴りたい程ムカつく奴」

「殺したい程?」

「ちょ……妹様……」

「っていうか咲夜、だっけ? このケーキ臭いんだけど。
 赤いのって、イチゴじゃないでしょ」

「さぁ、食べてみればよろしいのでは?」

マシロがぺろっと舐めた。
すぐに顔をしかめて皿を遠ざける。

咲夜のこめかみに、しわが見えた気がした。


門のところで、獣を見送る。
既に日は沈み、辺りの闇は濃さを増し始めていた。

ふと耳を澄ますと、後ろでフランの叫び声がする。
咲夜が押さえているはずだが……
暴れない事を祈る。

「何度も言いますけど、夜は危ないですよ」

「いいよ、あんまゆっくりしてらんないし。
 修行にでもなるでしょ」

振り向きながらマシロが言った。
思えば、なんだかんだで自分に大怪我は無い。

正々堂々、やりすぎない。
奴の流儀は好きだ。

「次にあったら、負けませんよ」

「え、ホント?
 ……今のうちに再起不能にしておこうかな……」

一瞬、もの凄く黒い顔が見えた。
むっ、と思ったがすぐに笑顔に戻る。
はっとする程爽やかな笑顔だった。

「なんちて。楽しみにしてるよ」

「……死なないでくださいね」

皮肉を込めて言ったつもりが、顔は強張らない。
手を振って、マシロが別れを告げた。


振り向く横顔が、何となく寂しげに見えた気がした。
急に名残惜しくなって、私は声を上げようとする。

ごうと風が吹いて、木々が揺れた。

瞬きをすると、目の前には漆黒の闇があるだけだ。
私は半開きの口のまま、風が体に当たるのを感じていた。