二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.45 )
日時: 2010/03/05 22:58
名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)

カジ その14



扉をぶち抜いて家に上がるのは、初めての経験だった。

「わぁぁああ!」

「け、慧音ごめん!」

「んぐ……妹紅、肘をどけてくれ」

カジの頬にめり込んでいる肘を持ち上げる。
慌てて背後に視線を移すと、既に影は敷居をまたいでいた。

「妹紅、アレは……?」

「説明は後で。悪いけど、カジ連れて逃げて!」

3mほどの所から、影に向かって炎玉を打ち込む。

慧音の叫びが聞こえたが、それどころではない。
……だが意に反して、玉は男に当たる前に消滅した。
何事かと目を見張ると、薄い霧状の影が目の前に広がる。
ふっと霧に触れた家具が、そこから削れていくのが見えた。

「ちょっ、速く逃げて。
 近くにいるとガチでやれない!」

「あ、いや、展開が早すぎて何が何だか……」

「俺も戦う」

そう言って、おろおろする慧音の横でカジが立ち上がる。
威勢はいいが、出血量を考えるとそれは無茶だ。

「バカ言ってないでさっさと逃げな!」

「傷は浅い。なんとかなる」

「どこが!?」

不意に男が手を突き出す。
それに合わせ、霧が渦を巻いて襲いかかってきた。
私は舌打ちをして、広げた掌に力を込める。


時効『月のいはさかの呪い』


半壊した校舎、カジが横に並ぶ。
正直やりすぎたとは感じたが、範囲がはっきりしない霧が相手だと仕方ない。
口をぽかんと開けた慧音に、頭を下げる。

「先生、明日は技術の授業ですか?」

「俺もご教授願いたいな。むしろ教師か?」

「……」

あっけからんとする私達とは対照的に、慧音は泣き出しそうだ。
もう夜も遅いと言うのに、外から野次馬の声が聞こえる。

とりあえずは、この程度で済んでよかった……と言うべきだろう。
私は胸を撫で下ろした。