二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.46 )
日時: 2010/03/06 16:48
名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)

カジ その15



人だかりができ始めていた。
涙目で状況説明を訴える慧音を置いて、私とカジは辺りを見渡す。

「今ので消えたかな?」

「凄いわざだった」

カジが感心したように呟くのを聞いて、ちょっと笑ってしまった。

「わざって、いいね」

「大技に見えたが」

「いやいや、まだ序の口。……気配はないね」

つまり、一安心と言うことだ。
溜め息を吐くついでに、遠くに医者の姿を見つける。
考え事をしているカジを引っ張った。

「ちょっと、そのケガ見てもらいな」

「ん、何故?」

「いや何故って君……」

そこで私はぎょっとする。
傷が塞がっていた。
口をぱくぱくさせると、カジは平然と口を開く。

「どこに怪我がある?」

「……腹が真っ赤に染まるほど……」

「俺の腹は、もともと真っ赤だ」

私は拍子抜けして苦笑した。
カジの黄色い部分は、胸だった。

「人騒がせなチャボだよ」

「チャボって何だ」


チャボって言うのはね、と口を開いた瞬間、カジが目を見開いた。
びくっとしてそちらを見ると、見覚えのある男が逃げ出すのが見える。

ゴシュジン?

カジが地面を蹴って駆け出す。
慌てて私も追いすがるが、早すぎて追いつけない。

人混みの中を、すり抜けるように走る。
ようやく追いついた時、カジは先程の裏路地にまで来ていた。
既にその闇には何も見えないが、明らかに気配が違う。

ざわざわと喧噪が追いかけてくる。
私はカジの背中に手を置いた。
気のせいだと思うが、カジは震えていた気がする。