二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.47 )
- 日時: 2010/03/06 23:45
- 名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)
昔話 その1
……海風が自分の頬を叩く。
潮の臭いが鼻を通ると、言い表せない爽快感があった。
「いいなぁ、海」
隣のカジが、呆れたように首を振る。
向こうにははしゃいでいるたらこと、フータが見えた。
ゴツとマシロ……姿は見えない。
(初めてでしたか?)
「ん、そうだな」
カジとは反対に、ミヤが座る。
テレパシーでも、会話できるのはありがたい。
「『シダケ』の近くには無かったし。
やっぱ綺麗だ」
(……カジさんが「さっきまでずっと泳いでたろ」って)
「アホ言うな。その時はお前らボールに入ってたろ?
こうやって全員と見るのは、コレが最初だ」
そう言って、俺はバッグから地図を取り出す。
『トクサネシティ』
そうか、もうこんな所まで来ていたのか。
「ポケナビ、持ってないの?」
「ん」
背後の声に振り向く。
目の前には3、4歳くらい下の少年が立っていた。
「ポ、ケ……あぁ、持ってないな
なんかアナログ派なんだよ」
「へぇ〜変わってるね」
その声は、言葉ほど嘲笑が混じっていなかった。
にやりとして、少年の顔を見る。
「そのナリは、お前さんトレーナーか?」
「そうだよ。勝負する?」
「お前がやるなら、な」
俺は念を押すように指を指し、海へと視線を戻す。
いつの間にか、カジが寝っ転がっていた。
のんきな、と首を振る。
「……やっぱり、変わってるよ」
顔を向けると、少年がミヤのとなりに座る所だった。
にこにことしている。
「お兄さんみたいな人に会ったのは初めてかなぁ」
「俺は変わってる」
「それ、僕が何度も言った」
ミヤが笑う。
カジがダルそうにあくびをした。
「お兄さん、なんて名前?」
「ん、俺ぁな……」
瞬間、遠くで爆音とともにロケットが発射された。
唖然として俺は、それに引きつけられる。
カジ達も、バッとそちらを見る気配があった。
煙とともに、打ち上げられるロケット。
空の向こうへ見えなくなるまで、俺達はそれに釘付けだった。
「お兄さん」
「……え、あ、何だ?」
「名前、教えてよ」
苦笑いして、少年が聞いてきた。