二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.76 )
- 日時: 2010/06/25 22:31
- 名前: かっぺい (ID: S3B.uKn6)
ストックはこれでラストです。また新しく書かなきゃなぁ……
変な所とかあったら指摘お願いします。
他にも何か言いたいことあったらお気軽にどうぞ〜
【The Chaos/Across/Hermit Purple】 その1
……………………
ゆっくりと、影が辺りを見渡す。
最後に、目の前に浮かんでいる少女に目を留めた。
「今も正直、信じられないけど」
少女は溜め息を吐いて影を睨む。
取り巻く空気に、怒りが充満している。
「もう無視できないの。
あなたを……ここで破壊するわ」
その空間は限りなく異質だった。
地面は無く、踏みしめている足が奇妙に歪む。
壁には無数の目がぎらついており、侵入者を鋭く貫いていた。
不意に、影がゆっくりと手を挙げる。
すると、影を中心に壁の目が苦しげに震えた。
痛みをこらえるように瞬きをする。
瞬間、形が変わる。
「……私の空間でも、これほど影響できるのね」
その言葉は賞賛に近い。
だが、口調自体は凍てつくように低かった。
少女が同じように手を挙げると、目の変化は止まる。
二派……影側の壁目は、歪んでおり虚ろだった。
一方、少女側の壁目は形を保っており、その目は変わらず力を持っている。
ざわざわと、風もないのに少女の帽子が震えた。
直後、
境符「四重結界」
投影「パーフェクトフリーズ」
影からは無数の玉が
少女からは張りつめられた光の壁が
空間を埋め尽くす。
激しい音と、光とともに。
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.77 )
- 日時: 2010/07/17 22:52
- 名前: かっぺい (ID: 8t12zafz)
相変わらずの週末更新……オウフ
【The Chaos/Across/Hermit Purple】 その2
白光の中から、漆黒の刃が噴出した。
「それは、あなた自身の力?」
4、5……6本の影刃。
それが光の中から少女へと伸びる。
遅れて、白銀の景色は徐々に落ち着きを取り戻す。
霞んだ彼方で、影が蠢く。刃は影から伸びている。
無傷。少女も、影も。
「それとも、ヒトの力かしら?」
少女は素早く手を挙げた。
間髪入れず、高速で飛んでくる刃の前に、大きな目が開く。
「!」
「貰うわよ」
目に見えたのは空間の狭間。
伸びてくる切っ先全てを呑み込み、境界は固く閉じられる。
ぶつり、という音。
躯を切断され、影は小さく仰け反った。
「……!」
「弾幕でなくてもこれなら、ね」
少女の声は響かずに消えた。
そして、再び少女から光が
【痛ぇじゃねぇか】
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.78 )
- 日時: 2010/07/17 22:51
- 名前: かっぺい (ID: 8t12zafz)
近々タイトル変えます。多分。
【The Chaos/Across/Hermit Purple】 その3
その音に、少女は一瞬だけ固まった。
その隙に、影は喰らいつく。
【動きを止めるなよ!】
投影「アイシクルフォール」
影から清涼な音と共に、大量の氷塊が噴出する。
彼女は上げていた手を下げ、攻撃ではなく防御のために空間を開く。
「同じ姿で」
彼女の前に開かれたスキマは、大小の氷を次々に呑み込む。
その虚ろの底は見えず、また光も見えない。
「同じ顔」
氷は止んだ。
影はつぶての最中を駆けていたのか、少女との距離を先程より詰めている。
「そして、『同じ声』」
少女は今度こそ手を振った。
走っている影の足が、突然開いた狭間に陥没する。
ぶつり
影の脚が闇へと消える。
【うおっ、またかよ!】
「……痛みもないのね」
少女は軽蔑を浮かべた。
既に影は数メートルの所におり、近くで見れば尚、違いの見当たらない『姿』。
『男』はスピードを上げた。
かざしている掌に集まっているのは、今度は炎……
少女もまた、身体に覇気を集中させる。
幻巣「飛光虫ネスト」
投影「月のいはさかの呪い」
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.79 )
- 日時: 2010/07/24 10:51
- 名前: かっぺい (ID: 8t12zafz)
最初の方で伏線張っといて良かったー
【The Chaos/Across/Hermit Purple】 その4
爆音と共に、再び視界は狭まった。
吐き出された光球は炎と衝突し、空間に溶けるようにして広がる。
【おい、随分おおざっぱじゃねか】
「あなたに言われたくはないわね」
紅の炎の向こうで音がした。
少女はその出所を敏感に感じ取る。
そこに向けて、手をかざす。
【さっきからよく見えねぇな】
「……そう」
少女は小さく言った。
直後、収束された光の束が掌から発
投影「原因不明の熱病」
その衝撃は、背後から来た。
「え」
身体が揺れる。
「あ」
倒れざま、背中へと視線を向ける。
———影が———
ぎょろりとした目が下にある。
自分で作った空間の中で、少女は地面に倒れ伏した。
砂が擦れるような音は当然無く、また骨や皮膚が軋む音もない。
紅霧は晴れた。
「……ッ!かはっ……!」
【お、大成功ってか?】
少女は地面に手をつき、顔を上げた。
眼前に、既に近寄っている『男』がいる。
少女は意識を集中した。
すぐ後ろに、同じ『影』がいる。
何が
どうなって
【不意打ちって言うのはよぉ】
目の前の『男』は、少女を指さしてくる。
【本当はあんまり好きじゃねぇんだわ】
背後で空気が震える。
漆黒の刃が空を斬った。
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.80 )
- 日時: 2010/08/02 22:56
- 名前: かっぺい (ID: 8t12zafz)
ひっそり復活。ぐあ〜スランプ……
あ、タイトル変えるのはやめました。
【The Chaos/Across/Hermit Purple】 その5
(危なくなったら、私を呼びなさい)
その台詞は、数分前のもの。
できるなら従いたくない、彼女の申し出。
(……嫌そうな顔しないで。
そうだ、ミヤも連れて行く。それならいいでしょ?)
脳裏に弾けた映像で、彼女はそんなことを口走っている。
それでは余計だ。コピーされる能力が増えるだけだ。
(そいつはヤバい奴なんでしょ。
だったら、早いところ潰しとくべきじゃない?)
(力を盗られるって話、忘れた訳じゃないでしょうね)
(上等)
彼女の眼が、倒れている少女の、瞼の裏で揺れる。
どこまでも強く、そして、真っ直ぐな瞳。
(あんたやミヤはともかく、それが
私に勝てる理由になるかしら?)
……あぁ
それはまぁ
そうだ。
少女の頭上で空気が震える。
少女は瞬間、顔の前に手をやる。
少女を庇うように、境界が開かれる。
「不意打ちって」
【……おい、なんだよコレ】
「あんまり好きじゃないのよね」
その空間に二人の台詞が響く。
『男』は驚愕の表情で、目の前に伏している少女を見ていた。
その隣に立つ、
新たに現れた、
2人の少女も。
「……速いですね。補足しきれませんでした」
「まぁ上出来よ、ミヤ。ねぇ、追い詰められるなんて珍しいわね、紫」
赤白の服を着た少女が、倒れている一人に手を差し出す。
紫と呼ばれた金髪の少女は、その手に掴まって立ち上がる。
「……油断したの。情報では一体だけだと思ってたから」
「あぁ、それはそうよ。何で二人もいるわけ?」
【おいおい! ちょっと待ってくれよ!】
『男』は声を大きくした。
いつの間にか、少女達との距離が空いている。
『男』の声に、三人は視線を移した。
赤白、紫、そして
緑と白の身体、恐らく人外の、ミヤと呼ばれた少女。
「降参したらどうですか?
そちらの方は、きっとまだ助けて差し上げられます」
彼女は指を差した。
『男』のすぐ横、既に崩れかけている、『影』を。
「私の攻撃で、まだ原型留めてるとか……
正直ちょっとびっくりよ」
赤白が台詞を加える。
唖然とした様子で、『男』は凍り付いた。
【おいおいおい……こりゃあ……】
「形勢」
誰へともなく紫が言った。かざしている手には、既にスキマ。
「逆転ねぇ」
白い光が迸る。
- Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.81 )
- 日時: 2010/08/10 23:05
- 名前: かっぺい (ID: 8t12zafz)
失踪阻止、危ない!でも少ない、しかもヘボい!
【The Chaos/Across/Hermit Purple】 その6
拡散する光の束の中、紫は『男』の行動を捉える。
放った光の網が触れる直前、彼は焦燥の表情で、背後にスキマを開いた。
あぁ、やっぱりか。彼女は目を細める。
分かっていたがやはり、あの『能力』を盗られた以上、捕らえることは難しいのだ。
今回は上手くいった……けれど、次はきっと、骨が折れる。
彼女は溜息を吐く。それと同時に、網が震える。
崩れかけている『影』に、白い糸が巻き付く。
「やられたわぁ……!」
今度も、再び紫だった。威厳もへったくれもない、気の抜けた声。
今少女達は、捕らえた影を真ん中に集まっていた。
彼女の隣で紅白が……博霊霊夢が、眉をしかめる。
「何よ、なんか問題?」
「そうねぇ」
紫が苦々しげに言葉を放る。
その隣でミヤが、じっと『影』を凝視している。
「コレから何か分かるかも……とか思ってたんだけど、もう無理みたい。
コレはもう、終わってるから」
紫の台詞と同時、『影』はぐずぐずに崩れて消える。
ぎょっとして、霊夢が仰け反った。
「うわぁ!?」
「あの男のせいよ〜……逃げる前に、ちゃちゃっと片付けられちゃったわ」
霊夢はへぇと相槌を打ち、瞬きする。
既に黒は消えた。残されたのは、床に張り付く眼だけ。
「……不思議生物め」
「ごめんなさい。付き合わせちゃったけど、収穫ナシだわ」
紫は頭を掻く。首を振り、霊夢を、ミヤを見る。
「ミヤも、かしら?」
「…………」
紫の言葉に、ミヤは首を振った。
そのまま俯き、胸に手を当てる。
「え、どうしたの」
「……違いました」
話しかけてきた霊夢の方は見ないまま、ミヤは声を絞り出す。か細い、声。
「あの人じゃなかったです。全然、全然違うヒトでした」
彼女は言葉を切った。