二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.9 )
日時: 2010/02/18 20:37
名前: かっぺい (ID: qrbmE5ew)

カジ その2



目の前の鳥顔は、カジと名乗った。
種族は『バシャーモ』と言うらしいけど、私は知らない。

「これ……お茶」

「ん、ありがたい」

かぎ爪のような手が、危なっかしく湯のみを持つ。
こぼれそうだったけど、なんとか飲んだ。

「美味いな」

「それ緑茶なんだけど……苦くない?」

「俺は苦いものが好きなんだ」

本心からの言葉らしい。
へぇ、と感心しているとカジがこっちを見つめてきた。
……えっと

「おかわり?」

「頼む」


あの闘いの後、ただの妖怪じゃないらしいので家に連れて来た。
素性を聞いてみても、出てくるのは知らない地名や名前ばかりなのだが。

「私は 藤原妹紅(ふじわらの もこう)
 ここらの竹林で護衛の仕事をしてる」

「変わった名前だな」

「そっち?」

「他に聞く事はないだろう」

「いや……護衛がいるような所だったんだよ。
 君がまったりしてたとこは」

はぁ、と気のない返事が返ってくる。
確かに、こいつは油断ならない所があるけれど……

「一つ、言っとく」

「ん」

「私に負けちゃうくらいの力なら、『ここ』で誰かれ構わず襲いかかるのは止めた方がいい。
 多分どっかで死ぬから」

「死ぬ?」

「みんなが上手く手加減できる訳じゃない」

口を尖らせて言う。最低限の忠告のはずだったが、カジはくくっと笑った。

「妹紅は上手いんだな」

「え」

「あのとき、あそこまで接近する前に俺は消し炭になっていた。
 本気ならな」

口がぽかんと開いた。
あの一瞬で、私の力を計っていた?
……もしかすると、こいつはまずい奴かもしれない。

「ま、まぁそんな私に負けたんだから、あんまり調子に乗らない方が」

「いいか?
 だが、二人とも本気でやったら分からんぞ」

あ、と思う。
瞬きの瞬間、カジは立ち上がっていた。
驚いて目をこすると、今度は背後だ。

「茶、美味かった」


反射的に飛び退いた。

が、既に姿はない。
目の前の入り口が風に揺れているだけだ。