二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【東方】うちのメンバーが幻想入り【ポケモン】 ( No.90 )
日時: 2010/10/11 13:50
名前: かっぺい (ID: dDbzX.2k)

まったり更新……まったりの度合いを超えてる気が……
そろそろ解説編も終わる予感です。逃げた奴はどうしてるんでしょうか。

【The Chaos/Across/Hermit Purple】“Back Side” その3



『男』の脅威は、そのコピー能力にあった。

さとりの例で、既に紫は空恐ろしい物を感じていた。
霊夢達の話によれば、彼女も能力を盗られ、トラウマによる精神攻撃を受けたという。

『さとりの力』は、彼女自身の力だ。

もちろん、話に聞く分には、『男』がそれ以上の読心をした訳ではなさそうだった。
あくまでも、奴は「スペルカードとして」読心を使用したに過ぎない。
だが、使えたのは事実なのだ。

———【他者の『能力』をコピーする程度の能力】———

紫の感じた脅威は、決して過剰な物ではなかった。
むしろ、幻想郷の管理者として、最適な感情と言ってもいい。
紫は『男』を、早々に殲滅する事に決定した。

かくして湖は閉じられたのである。彼女自身の、スキマによって。



「……はぁ?」

「な、なんでその流れから湖なんですか?」

「あ〜まぁ、暴れても問題ないし、とか言ってたな」

「なんじゃそりゃ」

「紫さんって、結構乱暴なんだね」



とはいえ、ここ以外に候補も無かったのである。

敵が、対峙する存在の能力を奪う以上、人や妖怪が密集する場所は避けたい。
また、現在の所在・動向が分からない以上、『男』がどんな能力を手に入れているかは予想できない。

もしも広範囲に効果がある、とか、対象によっては致命的な能力を身に付けていたとしたら……
対応に追われ、戦闘どころではないだろう。

だからこそ奴を相手にするのに、この湖は良い場所だった。
人はいない、妖精は力を盗られても問題ない、周りに余計な建物は無い。

この湖は、非常に都合の良い場所の、はずだったのである。



「はず」

「確かに、あいつのやった事は乱暴な部分もあったんだよ。
 紫は……いや俺たちか。俺たちは、計算ミスを犯した」



紫は『男』を補足でき次第、スキマによって湖に送ろうとしていた。
とはいえ、『男』の動向は依然掴めなかったのである。

彼女の作戦は、マヨヒガに亡霊の友人を呼ぶ事だった。

大した計画ではなかったのである。
『男』の目的は相変わらず不明瞭であり、よって誘き出す手段も見当たらなかった。

ただ紫は、『男』の行動を「自分が強くなるためのもの」として捉えていた。

あながち変な話でもない。
模倣の力を持っている以上、誰かに出会う度に奴は強くなる。
と言う事は、『男』の目的もそこにあるのではないか?
「自らを強くしていく事」、それが奴の目的ではないのか?

亡霊の友人は幽々子と言った。
彼女もまた強い力を持っていて、だからこそ紫は使えると踏んだ。

———マヨヒガに集合し、そこから幻想郷全体に妖力を流す。
   『男』がそれに気付いてくれれば、マヨヒガにやって来るだろう。
   そこを、捉えればいい———



もちろんこれは紫自身の案だった。
友人を巻き込むつもりは、なかったのである。



「相変わらず、ウゼぇ話し方するな」

「幽々子さんのことは、私たちも聞いた事がありますけど」

「……結論から言うと『男』は来た」

「え、さっきは計算ミスをって」

「こっからだ……紫は、流した妖気に自分の分を多く含ませてたらしい。
 だからこそ、奴は最初に自分へ攻撃してくると予想した」

「幽々子が襲われたの!?」

「……俺と紫は二つ、ミスをした。
 一つ目は『俺をマヨヒガまで連れて行ったこと』。
 二つ目は……
『俺が敵のターゲットだと予想しなかったこと』だ」





目の前で、ふんわりと服が揺れた。
入り口で黒い何かが揺らいでいた。
驚愕で凍り付いた紫の顔も見えた。

俺をかばって、一撃を受けた幽々子の背中が見えた。