二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 雲無しの午後 【銀魂】第八話UP ( No.51 )
日時: 2010/03/24 17:18
名前: 我流 (ID: HOE8nich)

 ■□第八話■□

僕は其の音色に引寄せられる様に無我夢中で走った。
進むに連れて、音色は少しずつ大きく為っていった。

やがて蜂蜜色の長い髪をツインテイルで赤いリボンで二つ縛っている女の人を見つけた。
此の音色は彼女が弾いたらしい。
無意識に僕は其の女の人に駆け寄っていた。

僕に気付いた彼女は優しく微笑んだ。
彼女が歌いだしたのは、其の時だった。

聞いた事の無い歌。
最初はおずおずと、でも直ぐに其の歌声は自信に満ちたものに変わる。
何処かもの悲しく、其れでいて優しい気持ちに為る旋律。
穏やかな音色と歌詞が、僕の心に染み込んでくる。
彼女の歌う歌は、僕の知らない過去を物語った様な歌で、自分でも気付かない内に涙を流してた。

何時の間にか、彼女の歌は終わっていた。
僕は涙を拭うと思い切って喋りかけた。

「僕は雅焔っていいます!良ければ名前教えて下さい!!」
「ほぇ??名前?えーと…椎名 鈴音だよ!!宜しくねぇ」
彼女の声を聞いただけで、さっきの歌を思いだして、拭いた筈の涙が又零れた。
「え!?何泣いてるの??雅焔ちゃん!?」
「すみません。歌、感動しちゃって……」
「あはははぁ〜面白いねぇ、雅焔ちゃんって♪」
鈴音は優しく微笑んで話を続けた。
「鈴音の歌で泣いてくれたの雅焔ちゃんが始めてだよ〜」
鈴音の笑顔で僕もつられて笑顔に為った。


「雅焔——っ!!」
もっと鈴音と話そうと思ったら、銀が僕を迎えにきた様だった。
「雅焔ちゃん、又此処でライブを開くから見に来てね」
僕は思わず、笑顔で答えた。

+++++

「どうした?雅焔。偉くご機嫌だな」
「新しい友達が出来たんだ」
「そりゃ、良かったな」
頭をガシガシ撫でる銀。
眠たそうな目で僕を見る銀はとても優しかった。





















其の内にも重い雨雲は黒さを増し、此の歌舞伎町に集まり始めていた。