二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ポケスペ†君の傍に†キャラ/イメソンUP ( No.29 )
- 日時: 2010/04/24 13:11
- 名前: 天月 ◆MoYaKs53do (ID: ixDFu4/i)
#05 今更だけど、
翌日———。
シルバーはポケギアでユウナに「カントーに来てくれ」
と言い、ユウナは朝早くにシンオウを出た
朝霧に包まれて、まだ向こうのほうは暗い空を
チルタリスに乗ったユウナは眠そうな顔をして、欠伸をしていた
シンオウからカントーは遠いとはいえ、出るのが早すぎた。と少し後悔するのであった
『少し寝ててもいいですよ、ユウナ』
チルタリス、否ミチルは首だけを後ろに向け、ユウナに言った
ユウナは、
「ありがとう。じゃぁ近くになったら教えて?」
『はい』
ユウナはミチルの首を一度撫で、ゴロン、と寝転がって仮眠を取った
『昨日も良く眠れていないのに…。シルバーさんったら……』
そう呟きながら、ミチルは綿雲の翼を羽ばたかせてカントーのマサラへ向かった
***
「………ナ、……ウナ、…ユウナ!!!!」
「うん……? って、シルバー!? ってことはマサラ……
ミチル、あなた…」
『起こしても起きなかったじゃないですか。いくら寝不足だからって……』
ピシャリ、といわれ、ユウナは口を閉じ、静かにミチルの背中から下りてボールにしまった
その時、バランスが取れなかったのか、ユウナはバランスを崩してシルバーの方へ倒れた
「お、おい…………」
結果、シルバーはユウナを抱きしめる形になってしまった
(ヤバイって、これ、レッド先輩に見られたら……!!!)
今は早朝だから(多分)大丈夫だろうけど
あの人に見つかったら…と想像すると地獄が見える
と同時にシルバーから血の気が引く
ユウナの方を見ると、気にせずに規則的な寝息をたてている
…………寝息!?
寝てるんですか、またこの人は!!!! 人の気も知らないで!!!!
「まったく………、相変わらずな………」
相、変わらずな……。親友……じゃ、なくって!!
っていうか、早く起こさないと……
「ユウナー。起きてくれ。切り裂くぞ」
「それはイヤッ!!!!!」
起きた……。切り裂かれるのはイヤですか、そうですか
ユウナは、ごめん! と言って俺から離れた
…淋しいとか思ってないからな!!
「で、私に何の様?」
「あ、えっと…………い、まさらだけど……」
ん?とユウナは首をかしげる、シルバーは顔を真っ赤にさせて俯く
気付いていないが、二人の腰にあるボールの中にはニューラとブラッキー…ルナが二人をさも愉しげに見ていた
しばしの沈黙が流れるが、シルバーは意を決して
一度深く息を吸い、一気に言った
「俺、お前が好きだった!!!」
シルバーにとってこの沈黙は拷問よりもキツイ
一体どんな答えが…いや、結果はわかりきっているのだが
「………ごめん、なさい」
ユウナは申し訳なさそうに断る
それは、自分には既に恋人が居ること
そして、自分達は血が繋がっていることをひっくるめてだ
……そっか。とシルバーは自嘲気味に笑いかける
その顔を見て、ユウナは顔を歪める
「ヤメテ」と言わなくても聞こえる
でもそうでもしないと、泣いてしまうくらいシルバーは切なさに襲われていた
グッと力をこめて握った手に爪が食い込み
泣くまいと噛んだ唇からじわりと血が出てきた
「でも、ね。私シルバーのこと好きだよ?」
恋でも友としてでもない。“家族”として
昨日、ユウナは家に帰ってからずっとそう思っていた
ユウトとは、血こそ繋がっていないが、殆ど家族のような存在
シルバーは血は繋がっていて、それ以前に「親友」だったのだから、家族と呼ぶのになんの躊躇いもなかった
「………俺も、ユウナのこと好きだ。きっとこれからも」
「うん」
「だからさ、俺がユウトみたいに出来るか判んないけど
“家族”としてユウナを護りたい」
「うん……。ありがとう」
そして二人は互いに笑い合った
かつてブルーがユウナをシルバーと共に行動をさせていたのは
きっと幼いユウナがどこか幼いシルバーに似ていたからだろう
そして、瞳に宿るモノも、優しさも境遇も類似していた
幼い頃、「仮面の人形」と「戦闘機械」として育てられた二人は共有している想いも似ていた
だから、ブルー以外の人間を拒絶していたシルバーがユウナに、ゴールドに、ユウトに心を開いたのだろう
何時だって、何処だって、変わらない———
シルバーはその本当の意味を判った気がした
一部終