二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ−限られた時間で、限られた命で、限られた愛を− ( No.25 )
日時: 2010/06/04 19:07
名前: 亮 (ID: cX1qhkgn)






嬉しかった。



キミに、巡り会えたこと。
キミと、恋が出来たこと。



不器用な自分は、こんなトキでもとことん不器用で。





愛しかたが、分からなかったんだ。





ただ、他人に取られたくなくて、離ればなれになりたくなくて、1人に、なりたくなくて。

そんな想いが選ばせたのは。





苦しく、悲しい、最悪の愛。






少年は、狂ったように笑った。


それでいて、優しく穏やかに、包み込むように。
笑って言った。





「殺したい」





少女の目は、恐怖に怯えた。


「スキだよ。 だからね」


リョーマは、笑う。


「リョーマ、くん・・・?」


“スキ”
その言葉、どれほど望んでいただろうか。
計り知れないほど、その言葉を求めていたのに。



「だから、殺す」(リョーマ)



嬉しさ、なんて微塵もなくて。
ただただ、恐怖が身体を支配する。

「や、だ、よ。 やめて、リョーマくんッ」(桜乃)
「嫌」(リョーマ)

リョーマは桜乃を押し倒す。
両手をがっちり掴んだ。
リョーマの手は驚くほど冷たくて。
ふと、リョーマの顔を見上げた。



どうしようもなく、泣き出しそうな顔をしていた。



「どうして・・・?」(桜乃)


その問いを、リョーマは無視する。
もう、どの言葉も届かなくて。
桜乃の頬に涙が伝う。
リョーマは強く抱きしめた。
リョーマの頬が、桜乃の頬に触れる。
そこだけが、妙に温かくて。

キミを、誰にも取られたくない。

キミを殺す、それは、永遠に自分の胸に彼女を刻み込むこと。
キミを殺す、それは、今できる自分に出来る最高の愛の表現。





きっと、最悪でもある、愛の表現。
















「これからは、ずっと、一緒」(リョーマ)


















どうして、逃げなかったんだろう。
今のリョーマくんからなら、きっと、逃げられたハズなのに。


桜乃は、静かに瞳を閉じる。
身体いっぱいに、不器用な愛をカンジながら。





スキだスキだスキだスキだスキだスキだスキだスキだスキだスキだ。
————————————————愛してる。






俺はキミに、
殺したいほど恋してる。