二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: [テニプリ]いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.395 )
- 日時: 2010/07/29 14:03
- 名前: 亮 (ID: TtH9.zpr)
- 参照: 俺は嘘を吐き出す、彼女は嘘を喰らう、俺は彼女に呑まれる。
紅。
赤。
歪んだアカ。
真っ直ぐなアカ。
狂おしくも、見入ってしまう、美しい美しい、アカイロ。
滴る血の色と、充血した瞳と、同じ色。
キミの赤。
俺の紅。
さぁ、どっちのアカが、強いのかな——————————————————————?
「これより、第X回、バトルロワイアル法立海第附属中学テニス部プログラムを実施する」
そんな声が、寝起きの頭に響いた。
「・・・?」
眠たげに目をこすりながら、怠いカラダを起こすと、そこは別世界。
見たことのない服装の男たちが、淡々と何かを述べている。
隣を見ると、表情の凍った真田と幸村、他レギュラー陣がいた。
「! 赤也・・・ 起きたか」(真田)
「ふ、副部長、これ、どういう状況、なんですか?」(赤也)
「・・・・・・我々は、BRに選ばれたそうだ」(真田)
「B、R・・・?」(赤也)
赤也の頭に、疑問符が浮かぶ。
初めて聞く言葉ではない。
だが、頭が反応しない、したくない。
「殺し合い、だよ」
小さく、それでいてしっかりとした口調の声が響く。
赤也は、冷や水を浴びせられたような気がした。
「お、前・・・」
何かを覚悟したかのような“彼女”の瞳に、赤也はそれ以上言葉を発することが出来ない。
「番号を呼ばれた順に、デイバックを取りに来い」
低い男の声が響き、次々と部屋を出て行く部員達。
仁王、柳生、丸井も呼ばれる。
「せ、先輩」(赤也)
「大丈夫じゃ。 後から、必ず会おう」(仁王)
彼女は、そんな会話を無表情で聞き流す。
仁王達を見送った赤也は、彼女を見た。
「お前も、後からちゃんと「切原さん」え?」
赤也の声を遮るのは、彼女。
「絶対に、私に近づかないで」
彼女は、ニコリ、と微笑んで。
「約束、ですよ?」
——————
———そんなの、無理、だろ・・・
赤也は、薄暗い森を1人で歩く。
勿論、“彼女”を探して。
最後に見せた、あの微笑みが忘れられない。
「・・・・・・、何でだよ」(赤也)
言葉の意味が、欠片も分からなくて。
赤也は疑問がそのまま声に出る。
彼女は、寂しがり屋だと思っていた。
こんな時であれば、誰だって、誰かと一緒に過ごしたいと思う筈だ。
それなのに、彼女は。
“近づかないで”
何か、決心したように。
全てを、突き放すように。
それでいて、何処か寂しげに。
「意味分かんね」(赤也)
赤也は吐き捨てるように言う。
苛立ちを感じながら。
「絶ってー、見つける! そんで、先輩たちのトコロへ連れて帰る!」(赤也)
それが、吉と出るか凶と出るか——————————————————、
そんなモノは、今の赤也は頭の片隅でも考えてはいなかった。
——————
「俺に任せろよ、“輪廻”」
闇の中で、呟く。
楽しそうに、楽しそうに。
「お前じゃ頼りないからな。 俺が“お前を生き残らせてやる”。 ・・・そう喚くなよ、俺が悪い奴みたいじゃないか」
口元は、ニヤリ、と歪んでいる。
「俺は、助けてやるんだぜ? ・・・・・・なぁ、出てこいよ、赤也———————————————」
———知らない、知らない、こんなの奴、知らない。
赤也は、ココロの中で呪文のように何度も“知らない”と繰り返す。
「そこに、いるんだろ? 隠れたって、解る」
赤也は、渋々と気の陰から出てくる。
精一杯の警戒を払って。
「誰だ、お前」(赤也)
「ん? 俺?」
「輪廻・・・・・・、か?」(赤也)
「・・・・・・当たってる、けど、はずれてる。 かな?」
赤也はきょとん、とする。
目の前の“彼女”は、ニヤリ、としたままだ。
「意味、分かんねぇよ。 誰なんだ、お前」(赤也)
ふー、とため息をつくと、彼女は木に座っていたが立ち上がった。
「そんなに気を張るなよ。 やりにくいだろ」
「名乗れ、よ」(赤也)
「朔夜」
「え?」(赤也)
不意をつかれ、赤也は聞き返す。
朔夜は、またため息。
「朔夜だ」(朔夜)
「朔・・・・・・、夜・・・」(赤也)
「これで会うのは、初めてだよな。 初めまして」(朔夜)
赤也は、彼をまじまじと見る。
———輪廻は・・・・・・、何処だ。
そんな疑問が、頭を支配する。
彼の中に、輪廻の面影はない。
「どうした? 輪廻が、気になるか?」(朔夜)
「!」(赤也)
「図星? 此処まで、輪廻を探して来たんだろう?」(朔夜)
「・・・・・・」(赤也)
何もかも見透かした様な瞳が、怖い、と思った。
「まぁ、無駄足、だったな」(朔夜)
朔夜は淡々と話す。
「何で、だよ」(赤也)
「せっかく、輪廻は忠告したっていうのに」(朔夜)
赤也の脳裏に、あの微笑みが戻ってくる。
あれは、忠告。
(絶対、絶対、私に近づかないで!!)
「忠、告・・・・・・」(赤也)
「そう、忠告」(朔夜)
そう言うと朔夜は、ニヤリ、と嗤う。
「お前、輪廻を助けたいか?」(朔夜)
(違う!違う違う違う!)
赤也の背中に、冷や汗が流れる。
「何処、だよ・・・・・・ お前が、輪廻じゃなかったら、輪廻は何処にいるんだよ!!!!」(赤也)
「・・・・・・俺の質問は、無視かよ」(朔夜)
朔夜は、吐き捨てる様に言う。
そしてため息。
「輪廻な、自信が無かったんだよ」(朔夜)
「は?」(赤也)
朔夜の手には、いつのまにか————————————————————————————ナイフが。
(逃げて、逃げて、逃げて! ・・・・・・ねぇ、早くぅ)
「おま、え」(赤也)
「自信がなかった。 俺に、乗っ取られない自信」(朔夜)
一歩。 また一歩。
確実に、赤也に歩み寄る。
「優しいだろー? 輪廻。 だから、1人になろうとした」(朔夜)
口元は、歪んでいた。
「自分の中にいる“紅”で、お前の“赤”を喰らってしまわないようにな」(朔夜)
「りん、ね」(赤也)
なんて、なんて愚かな、自分の判断。
「この世界の何かが狂って、俺も狂ったみたいなんだ」(朔夜)
「血は大好きだ」(朔夜)
赤也は、思う。
もっと強ければ、コイツから不安から、輪廻を守れたのだろうか。
もっと頭がよければ、輪廻の忠告の意味に、自分で気がつけただろうか。
振り下ろされるナイフを見つめ、飛び散る自分の血を見つめ、ただただ思う。
赤く充血した瞳。
そんなの、なんの意味も持たない。
(やだぁ、やだよ、)
「赤、也ぁ・・・・・・」
一瞬だけ。
愛しい彼女が、見えた。
彼女の声が、聞こえた。
・・・・・・それは、気のせい、だろうか。