二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ−限られた時間で、限られた命で、限られた愛を− ( No.59 )
日時: 2010/05/04 17:21
名前: 亮 (ID: cX1qhkgn)





誰かの命を刈り取る、刹那の感覚。
それに対して、少年は抱いてはいけない感情を持っていた。





“心地よい”   “快感”   “楽しい”





止めたくない。
止まらない。
止められない。





“罪悪感”という“ココロ”捨て。
“快感”という“悪魔”に身体を売る。





全ては、“欲”に正直に生きるため。





それでも、ココロの片隅で。
助けてと泣いている。





グサッ


さっきまで、一緒に笑い合っていたクラスメイト。
その背中を、思い切りナイフで突き刺す。

「信じる、なんて。 とても無駄なんだよ」

大量に流れる血と、意識を失っていくトモダチを見て、笑みを浮かべる。

「あ、あ・・・、あく、ま・・・」
「え?」
「あ、く、ま。 悪魔・・・」



“悪魔”



「残念ながら、僕は人間だよ。 自分の欲に正直に、生きる人間さ」



“欲”



「もう、キミに俺の声は、届いていないだろうけどね」



幸村は、静かに微笑む。
横たわる女の子は、既に息がない。

「生きなくちゃ」(幸村)

そうだ。 生きなくちゃ。

「待ってて」(幸村)


本当は、今頃。

修学旅行のハズだった。
飛行機の中にいたはずなのに、目が覚めると。
うちのクラス、3年C組だけ、別コースだと言い渡された。
観光も何もない、残酷な“殺し合い”というコース。


「皆、待ってて」(幸村)


生き延びたい。
コレは、“欲”。
欲のままに身体を動かすのは、“ココロ”を失った“悪魔”。
“自分”を“悪魔”に売った。



深い、深い、葛藤の中で。



「絶対、戻るから」(幸村)

誰も居ない森の中で、何度も同じような意味の言葉を呟く。
“彼ら”に向けて。


「3連覇のために、俺は戻るよ」(幸村)


“彼ら”
そう、仲間達。
支えてくれた、仲間。
彼らが、俺を待っている。
彼らが、俺を求めている。


そうだろ? 真田。


だから、俺は生きたいんだ。
支えてくれる、待っていてくれる、彼らがいない世界が、“怖い”。

草が
動く音がした。


「誰・・・?」(幸村)


余裕の表情で、振り返る。
あの刹那の感覚が、また味わえるのだ。
幸村の身体を、また“悪魔”が乗っ取る。



パァンッ



「よくも。 よくも。 よくも、皆を!」

彼女は、涙を流しながら、発砲した。
痛む肩を見ると、血があふれ出ている。
幸い、弾は貫通しているようだ。
彼女・・・———越智弥は、なおも発砲しようと銃を構える。

「わた、る・・・?」(幸村)
「命乞いなんて、しないでよ。 皆、アンタが壊したんだから」(弥)

その瞳に、ヒカリはなくて。
“復讐”が、彼女の身体を支配する。


「死んで。 馬鹿。 壊したんだから、全部、責任とって死ね」(弥)


自分の身体に、再び銃弾が当たる。 
たぶん、自分は。
数を数えていなかっただけで、相当の人数を殺しているだろう。










ほんの少し、そんなコトが頭をよぎった。










止めたくない。
止まらない。
止められない。



そうだ。 止められないんだ。



“罪悪感”を失った“ココロ”は止まらなくて。
“悪魔”に売った“身体”は言うことを聞かなくて。
ただただ、“欲”に正直に。















全てを、破壊した。















「あ・・・」(幸村)

血が流れる。
自分の。 そして、彼女の。

「また・・・」(幸村)

息をする。
俺は。 彼女は、しない。


紅に染まった手を見た。















「罪悪感とかそういうの、どっかに落としちゃったみたいだ」















止めたい。
止められない。
止まらない。
あぁ、俺を、“悪魔”から助けて。

助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて。

なぁ、真田。
こんな俺でも、戻ったら喜んでくれるかい?



もう、自分ではどうすることも出来ない。



ココロが“悪魔”に刈り取られた。