二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 涼宮ハルヒの願望<復活初仕事> ( No.9 )
- 日時: 2010/04/23 21:10
- 名前: みやっさん ◆E53IZBWzfE (ID: K.LxVVE2)
第四話
——ちょうど俺が空欄か一言書きの業務日記をグレードアップさせて書き始めてから一週間経ったという訳だ。
三月もあと一週間半経ちそうなある日——。
三月の下旬だが、今年は割かし暖かいので桜もあちらこちら三分咲きまでになっている。
早く咲くのはよろしいが新入生が来るまでは葉桜になってんじゃねーぞ。
っと心の中で語りかけながら、何時もの坂。何時もの学校、何時もの教室へと向かった。
ここまでは何時も通りだった。……が、しかし。
「よう、ハルヒ」
と、何時ものあいさつ。これも日常的にはハルヒは無視して窓の向こうでも見てるだろうよ。
しかし、あいさつをしたや否やハルヒは俺の方を向いて教室だというのに特製SOS団スマイルをむき出し、
こう言ったのだ。
「おはよう! キョン!!」
「……あーおはよう、ハルヒ」
これは何の風の吹きまわしか、誰かが俺にあいさつしろよっ! みたいに言ってハンマーでぶっ叩いたのか、
「ハルヒ?」
「ん? 何?」
「珍しいな。返してくれるなんて。占いでもいい順位でも言ったのか?」
まぁ、大抵なら占いなんてうたい文句は信じない主義なんだがな。
「あいさつされたなら返すに決まってるじゃない。常識よ」
常識? こいつが?
「そうなのか? 俺はいつも無視するお前を目撃するのだが?」
そう言った時ハルヒは頭を傾げ、
「何の事よ? いつもあたしは誰に対してもあいさつするわよ?」
そう言った時教室に入って来た女子にハルヒは片手をぶんぶん振って、
「おはよう!!」
「おはよう、涼宮さん」
「おはよう」
など、返って来た。
はてさて、俺はこいつがクラスの女子と会話しているのを全く見てないはずだ。しかし、今こうしてこいつが一方的にクラスの女子に挨拶して、表情も——。
SOS団に見せる表情そのものだ。
————何か違う。おかしい。
「ハルヒ!!」
「な、何!?」
突然大きな声を出してしまったのか少しハルヒが驚き気味でいた。
「次の朝比奈さんのコスプレ衣装は何にするんだ!」
俺がこの質問をすれば、ハルヒだって「今は女王様を考えてるけどね」とか、「もうちょっとヒラヒラなメイド服!」とか、そんな変態的な事を答えてくれる筈だ。
しかし、————。
「みくるちゃんに? そんな淫らな事する訳無いよ!
何言ってんの?」
と、高笑いで受け流す。
嘘だ! あの奇人変人なハルヒだぞ。
「じゃあさ、一週間前に会議した宇宙人(略)については?」
すると、ハルヒは眉を顰めて言う。
「宇宙人? 未来人? 超能力者? あたしそんな事
話したけど……。なんか、興味無くなっちゃった!!」
……は?
「なんか人間離れな事考え過ぎたなぁ……って、
思ったの。今のSOS団は残すけど、皆には申し訳ないけど、活動方針をもう一回一から決めましょう。なんか、いっつも自分の意見ばっか貫いてきたから。だからね、キョン、ごめんね」
——と、謝罪を口にするハルヒ。何が起きたかいまいち分からん。え? 非日常に飽きたのか? そういう事なのか? ハルヒ!!
「お前、なんかおかしいぞ。どうした、そんな正気な
心構えになっちゃって……」
笑いながら誤魔化す俺。
「あたしは何時も正気よ。もうそんな非日常から逃げるの。現実だってまだ面白いし、……恋愛だって、してないし」
ここは、ハルヒの創った新世界なのか? 確認のため
に、俺はすぐ教室を出た。
「ちょっと! キョン。予鈴なったよ〜」
予鈴? 知ったこっちゃ無い!! 俺はすぐに隣の六組
に行き長門を捕獲。俺が状況を言う前に「九組へ」と
短い発言。お前も分かってたのか。
そして九組へ、教師がまだいなかったので、古泉を
捕獲。古泉は何時ものニヤケハンサムでは無くなってる。
眉を寄せ深刻そうな顔をしている。
そして二年の教室へ行く途中、泣きながら駆けてくる
朝比奈さんを見つけ、集合完了。
どうやら全員説明しなくてもいいんだな……。
この状況を。非日常を好まなくなったハルヒを……!!
俺はこの状況を皆が理解しているのを確信し
まず、正確に応答してくれそうな奴に聞く。
「長門。ハルヒはいったいどうなっちまったんだ」
すると長門は、
「身体融合変化。および神経変化、精神不安定Lレベル.五」
どっ……どういう……。
すると古泉はやはり深刻そうな顔だが解説は何時も通りだった。
「涼宮さんの身体変化が予想以上に加速してるんです
身体融合。つまり心と身体は密接につながってるのをご存じですね?」
ストレスが頭に回って病気になるとか、そんなもんか?
「無難に言ったら。今の涼宮さんの神経や頭の中は新規の涼宮さんと、新しい涼宮さんとでせめぎ合っているんです。いまは新規の涼宮さんに非日常のの思考を破壊させようとしています。分かりますか?」
正直、ずらずらし過ぎて分からん。
「では、昔の涼宮さん、つまりつい昨日までいた涼宮さんが破壊されると言ったら、おわかりですか? 今はそれで神経レベルがMAX五、なんですよ」
じゃあ……、神人がっ……!!
出ません。今の涼宮さんは非現実を全て捨ててます。故に普通のどこでもいるような女子高生となっているのです」
すると、俺が体験した。宇宙人じゃない長門、
未来人でもない朝比奈さん、超能力のないハルヒの
彼氏の設定でいた古泉とか、そんな風になってるのか。
「そう」と長門がわずかに頭を動かす。
「しかし、あれはバグを起こした私のシュミレーション。しかし今回は、涼宮ハルヒの願望となってできた形」
「ハルヒの……願望……?」
「はい。おそらくどこかで涼宮さんの心を揺るがし、
このような状態に陥ったと……」
俺はとにかく考えた。
ハルヒはどこでおかしかったのか……。
「恐らくは、あなたの発言で涼宮さんの様子が変に
なったりとか……」
まさか、そんな事ある訳……。
「あるんですか!?」
泣きながらしかし強く朝比奈さんは俺に問いかける。
唯一なにかあったと言えば……、
「実は昨日、」
その時、
「コラァ!! 時間考えろ! とっくに時間は過ぎたぞ!!」
と険しい顔で怒る教師。しかし、今俺らのシチュエーションは、
泣きべそをかく朝比奈さん棒立ちの長門。険しい顔
付の古泉。朝比奈さんをなだめるかのように優しく
説明しようとした俺。
それを見た教師は、「あ……気を付けろよ」と言って。教室に戻る。
「時間が無いので放課後話しましょうか」
俺はそう朝比奈さんに告げ、朝比奈さんも「はい……」
と言い一旦お開きとなった。