二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボーカロイド曲小説 ( No.3 )
- 日時: 2010/04/26 21:51
- 名前: 悪ノ娘 ◆Qd6XA/vkyQ (ID: F35/ckfZ)
-悪ノ娘- 悲しげな彩りで
昨日、罪のない王国が滅ぼされたことを聞いた民の怒りは頂点に達し、反乱を起こすことを決めた。
「烏合の衆と思っていたけれど…。中々侮れないようね」
戦続きで疲れた兵士達。若さと恐ろしいほどの怒りを武器にした民には敵わなかった。
「王女、恐ろしくありませんか?」
「怖いなんてこれっぽっちも思ってない。私にはレンがいてくれるもの」
こんなこと言っても、もう終わりって解ってる。今まで散々ひどい事してきた報いなのかなぁ…。後悔しても、遅いけど。
「彼らを率いるのは?」
「赤き鎧の女剣士です」
「そう、あの娘…。いつか私に食ってかかった娘よね?」
「そうですね…」
「度胸あるじゃない。反乱まで起こすなんて」
烏合の衆と思っていた彼らを率いるのは赤き鎧の女剣士と青い髪をした王子…。青の王子だった。
「…王女、服を脱いで僕に貸して下さい」
「何言ってるの…?」
「ほら、急がなくては彼らが来ます」
「…?」
しばらくしてからレンの考えが解った。
「私に命令?何様のつもりよ?」
「…召使です」
「解ってるならそんな馬鹿なこと止めなさい。ここで一緒に死にましょう?」
「王女はまだお若い。まだ生きて、世の中の色々なことを学んで下さい」
「何よ、同い年じゃない…」
「王女、お願いです。僕の言うことを聴いて…」
「仕方ないわね、聞いてあげる。服を脱げばいいんでしょう?そして、私がレンの服を着てレンのふりをするのね?」
レンは頑固。ここまで言ったらもう聞かないわ。姉ですもの、レンのことはよくわかってる。
「…よく解ってるじゃない」
その言葉を言ったのはレン。私の口癖。
「……。そのカッコ、似合わないわね」
でも私そっくり。誰かに気づかれてしまわない…。
酷いわね、今までは何のいいこともなかったのに…。大人の勝手な都合で私達は二つに裂かれた。
そして、都合のいい『双子』という現実で、レン…。私の大切な弟が死のうとしている。
「さぁ、レン。彼らが包囲しているのは正面側だけよ。裏側から逃げなさい」
「もっと声真似の練習しとかないと、バレるわよ」
私より少し低めの声。私の声を忘れていないでしょうね?
「…ずいぶんと偉そうね」
少し声を高めにしてみた。
「似てるよ、その調子でガンバれ」
今度は私がレンの真似をしてみた。
「「バイバイ」」
歌を歌うときに綺麗に響くこの声が今は逆になって、悲しい別れを告げる。
ちょうどレン(リン)が出て行ったときに、一番大きな扉…。リン(レン)がいる部屋の扉が開いた。
「見つけたぞ、王女!!」
赤き鎧の女剣士の剣が、王女の喉元に刺さる。
「この、無礼者!!」