二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボーカロイド曲小説 ( No.7 )
日時: 2010/04/27 20:27
名前: 悪ノ娘 ◆Qd6XA/vkyQ (ID: F35/ckfZ)

-悪ノ召使- 僕は王女 君は逃亡者

「…」
窓の外を悲しげに見つめる王女。王女の悪逆ぶりに耐えられなくなった民衆が、反乱を起こした。
「…王女…」
戦続きで疲れた兵士達に、民衆の怒りと若さは敵わなかった。
「なぁに?」
「僕の服を貸してあげる」
「…?」
「これを着てすぐに逃げて」
「レン…」
「大丈夫。僕らは双子だよ。きっと、誰にも解らないよ」
召使としての言葉じゃなくて、弟としての言葉で告げる。
「レン、何を言っているのか解らない…」
「ボクの言うことに従って。そうすればすべて上手くいくよ」

「いや、何なの…?何をする気なの…?」
リンと服を交換して、リンの髪を結う。
「今日から君がレンだ。そして僕がリン」
「何で?何でそんなことをするの…?」
「大切な人の笑顔を守れないなんて、そんなのいやなんだ…」
「いや!レンが死ぬ方がいや!!ねぇ、一緒に逃げよう?一緒に逃げてどこかでまたやり直しましょうよ!!」
「…。どこかに逃げたとしてもいずれ追っ手が来る。辛い思いは今ここで断ち切ろう」
静かに首を振る。
「私の命令に逆らうなんて…。何様のつもりよ…?」
「召使さ…」
僕は今から弟じゃない。王女を守るために死ぬ召使だ。
「さぁ、早く逃げて」
「…!」
レンの強い瞳に見つめられて、その場から逃げ出さずにはいられなくて…。

「見つけたぞ、悪の王女!!」
「…」
その声に威厳を持った姿勢で振りかえる。
「観念しろ!」
赤き鎧の女剣士が握る剣が、喉元に刺さる。
「この、無礼者!」
僕は王女。君は逃亡者。悲しく分けられた運命は元に戻らない。

でも、ボクは後悔なんてしていない…。