二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】銀ノ鬼ハ空ヲ仰グ—花曇編—【特別編up】 ( No.140 )
日時: 2010/11/07 19:54
名前: 李逗 ◆Dy9pHDxQUs (ID: MQ1NqBYl)


第九訓  出会いは重なって起きたりする      



和月の目の前に立つ男。其れはまさしく桂小太郎だった。
凛として整った顔立ちも、五年前と何ら変わり無い。

「お前……和月?」

声も全く変わらない。この人はコタ兄ィだ。
そう思った瞬間、懐かしさが込み上げて来た。銀時と再会した時と同じ様に。

「何故此処にお前が……ブフォオッ!!」

変な雄叫びを上げたかと思うや、桂はそのまま後方へ吹っ飛んだ。勢い良く塀にぶつかり、白目を剥いて倒れる。
眼を凝らせば、桂の頭上にピヨピヨと回るヒヨコが見れるのでは無いか、と和月は本気で思った。

「夢幻!」

何時の間にやら隣に居た神楽が夢幻の名を呼ぶ。
見ると、引っ繰り返った桂に夢幻がしがみ付いていた。どうやら夢幻が桂に飛びついて、その拍子に桂は吹っ飛んでしまったらしい。

少ししてからムクリと起き上がった夢幻の髪を見て、アレ、と思った。
確か、先程まで夢幻の髪は黄色だった筈。瞳の色も、だ。
だが今、夢幻の髪と瞳は夕暮れの空の様な綺麗な橙色。

(へーえ。珍しいな)

基本的に和月はそう言った事は気にしないタチだったから、特に気にも留めていなかった。



「そうか、あの後お前は京都に居たのか。道理で見つからん訳だ」

「えへへ、ごめんね」

ごめんねとは言ってはいるが、和月の目は右手のラーメンを凝視していた。時折左手に持つストップウォッチを弄くっている。

「つーかよォ、誰がヅラ上げて良いって言ったよ」

「ヅラじゃない桂だァァァ!! 俺は夢幻を迎えに来たんだ。そういった配慮が出来ないからお前はモテないんだ」

「関係無ェェェ!!!」

ぎゃんぎゃんと騒ぐ銀時と桂に、夢幻を含む子供達は冷たい視線を送っていた。

「ねえ、コタ兄ィと一緒に居るって事は、夢幻も攘夷浪士って事?」

「あ、う……うん」

「もうさ、夢幻攘夷浪士辞めて万事屋入りなよ!」

和月の其の言葉に、神楽がぱっと顔を輝かせた。
夢幻にぎゅうっとしがみ付く。

「そうネ夢幻! 大歓迎アル!」

「え、えと……」

初めは夢幻も戸惑っていたが、やがてゆっくりと笑顔を浮かべた。
花の様な笑顔、と言う表現が良く似合う。

(あたし、やっぱりこっちに来て正解だったよ)