二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】銀ノ鬼ハ空ヲ仰グ—花曇編— ( No.389 )
日時: 2011/05/15 15:20
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: .qxzdl5h)
参照: 今回つなぎの回でぐだぐだです。

第二十訓  小説始めて一年経って、やっとこさ二十訓



桂の投げた爆弾による煙が晴れた頃、吹き飛ばされた和月達三人はのっそりと顔を上げた。爆発に巻き込まれても命を落とさないのは創作作品クオリティである。

「何が創作作品クオリティ?」

創作は創作なのである。

「……ウザ」

和月はぼそりと呟くと、立ち上がり服に付いた埃をぱっぱと払った。それは和月だけでは無く、他の三人も一緒だ。
銀時はその赤い目でちろと桂を睨む。それは何かを蔑むような目つきだった。いや、虫けらを見る目つき、と言った方が正しいか。一方、そんな目を向けられているにも関わらず、桂は呑気に大丈夫か三人共、と声をかけてきた。

「ヅラ、てめーいつかぶっ殺す」

そう言って、銀時は桂の頭を殴る。ぼかん、といっそ清清しく思える位の音が響いた。桂はそれに、ヅラじゃない桂だ。とお決まりの台詞で返す。銀時はそんなものには耳を貸さずに、辺りを見回した。
辺りは薄暗く、壁に取り付けられた数台の常夜灯のみが明かりとなっている。そのせいで此処がどういった場所なのか分からない。広さは横が6人立って並べる位、だろうか。縦の長さはかなりありそうだ。銀時たちの向かい側の壁には通路が続いているのが、かろうじて見て取れた。

「あ、銀さん! あそこに扉がありますよ!」

ふいに新八が言い、そちらに視線を向けてみれば、確かにそこには扉があった。入り口のものと似た、鉄製の扉だ。また開かないのでは、と思いながら扉を蹴ってみると、それは鈍い音をたてて簡単に開いた。

「銀時兄ィ、中どうなってる?」
「通路が続いてやがる。暗くて良く見えねぇな」

言いながら、銀時は通路を見回す。かすかに空気の流れを感じるから、きっとどこかに続いているのだろう。

「いっちょ行ってみるか」

と、銀時が足を踏み入れた瞬間。

「いや待て銀時。ここは二つに別れよう」

突然の桂の言葉に、銀時の行動は遮られた。
桂の方に向き直り、何だよ、とさも面倒臭そうに訊く。桂はあれを見ろと言わんばかりに、もう一つの通路を指差した。それにつられて、その場に居た全員もそちらを向く。

「……あ、通路、が……ある、から……?」

夢幻の言葉に、桂はこくりと頷く。

「丁度ここに居るのは六人。三人ずつで別れて探した方が効率は良いだろう」
「ヅラにしてはものすごく良い意見アル」
「それじゃあグーとパーで別れましょうよ。銀さんと桂さんは別れて下さいよ?じゃ、せーのっ」

少しして。
グーとパーで別れた結果、和月、新八は銀時と、神楽、夢幻は桂と組む事に決まった。ぱっくり均等に別れたな、と和月は訳の分からない感心をする。
銀時と桂の強さは良く知っているし、神楽は夜兎だ。新八も多少の剣の心得はあるようだから大丈夫だろう。夢幻についてはよく知らないが、帯刀し、攘夷志士である桂と共に行動しているのだから、特に心配は無いはずだ。

「んじゃまー俺達こっちの扉の方行くわ」
「待て銀時」

通路を進もうとした銀時を、再び桂が呼び止めた。銀時のこめかみに、ありきたりな怒りマークがいくつも浮かぶ(様に和月には見えた)。

「あァ!? 何だよまだ何かあんのかよ、良いですね君は! 呼び止めたら振り返ってくれる奴が居て! 羨ましい限りですよコノヤロー!!」
「いや、これを渡しておこうと思ってな」

大声で捲くし立てる銀時には全く動じず、桂は何かを懐から取り出し、銀時に渡した。和月と新八も、それを横から覗き込む。
胴体の黒光りする、アンテナのついた手の平サイズの長方形の物体。恐らくトランシーバーだろう、これの特徴がそれらだけなら。
それには、普通のトランシーバーとは明らかに違うものがあった。
表面につけられている、茶と白のプラスチックでできた飾りと思しき物。

「……これ、カレー?」
「うむ、かれーだーだ。カレーの香り付きだぞ」

それはまさしくカレーだった。黒いトランシーバーにカレーの飾り。見ていて気持ち悪い。カレーがリアルすぎて。
と、次の瞬間。

「「「うむ。じゃねェェェェ!!!!」」」

銀時、和月、新八の飛び蹴りが桂を襲った。
三人の蹴りをまともに受けた桂は、そのまま後方に吹っ飛ぶ。

「何だよテメーは。珍しく良いモン渡して来たと思ったらコレぇぇぇ!? しかも何でひらがな発音んん!?」
「何かれーだーって。何そのネーミングセンス!? 中二病患者でももっとましな名前つけるよ!」
「つーかこれレーダーじゃないだろ! トランシーバーだろ!何でご丁寧に香り付き!?」

上から銀時、和月、新八だ。
それらの罵倒を、夢幻は慌てながら、神楽はどこから取り出したのか、酢昆布を食べながら見ていた。

「待て三人共。二手に分かれる事もあろうと思い、持って来たのだ」

三人にボロ雑巾の様にされながらも、桂は逞しくもその二本足で立ち上がった。

「だからって何でカレーにしたのコタ兄ィ」
「俺がニンジャーイエローだからだ」
「いやあたしそんなの知らないからね」

ニンジャーイエローとは、桂のペットもとい仲間のエリザベスが、悪徳奉行に捕まった時使った名だ。傍らでは神楽がニンジャーレッドは私アル、ヅラの上司ネと言っているが、それを聞いても良く理解できない。
桂はその事を和月に説明しながら立ち上がった。

「したらば銀時。俺達はあちらの通路に行こう。何かあったらそれで連絡すると良い」
「おー。神楽よろしくな」

一言二言言葉を交わして、二人はお互い背を向ける。和月は神楽と夢幻に手を振ってから、銀時の後を追った。