二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】沖神-日常にできた小さな楽しみ- ( No.23 )
日時: 2010/05/10 21:53
名前: 稜架 ◆z5iW57HkOM (ID: 3P/76RIf)


 >>曇り空のその先は・・・(後編)


「はぁっ・・はぁっ・・」

足が痛んでも別に気にならない、夜の街を走るのは何かと物騒でもあるが気にならない
ただ一つの目的のためにひたすら走る
こんなことをしている人は見た目からみると馬鹿だなと鼻で笑われることが多いが気にならない
ただ、今気になるのは沖田のことだ

  —・・・あと少しでいつもの角になる

この先を曲がれば

この先を後10歩進めば


「はぁっはぁっ・・っ」

なんでいないんだヨ・・涙がまた出てくる、今度は虚しさから怒りに変わり涙が止まる

「なんで・・なんでアイツのことをこんなに思わなくちゃいけないネ!!」

そう叫ぶと段々足がジンジン痛くなってきた、パジャマで来たのも気になってきた
怒りからまた虚しさに変わりまた違う涙が溢れてきた。

(せっかくここまで来たんだから)

そう思えば足がまた進む
いつもは行かない道ではあるが街頭を辿りながら行く、真選組へ
歩くスピードが段々速くなっていく早歩きになれば今度は走る、足に石ころが食い込む
だがそんなの気にしない、心の痛みに比べれば軽いものだ



「オイ、起きろジミー」

息を整えてから門の前で監守の番の山崎を起こす
山崎は飛び起きると神楽の姿にびっくりする、髪はまだ乾ききってはいないのかぼさぼさで
足は素足、そして少し肌蹴たパジャマ

「どどどっどうしたの!?」

動揺を隠せない様子で山崎は慌てなが聞くと神楽は沖田呼ぶネと早口で言う
え?と山崎が聞きなおすともう一回言ってくれた

「だから沖田の野郎よべっつってんだロ!このジミーがっ」

今度は毒舌口調で、山崎ははっはいぃい!とおびえながらも小さい門から中へ入っていった


入っていったのを見計らうと門にもたれかかりはぁーと後悔交じりのため息を吐く
そして気を抜いたのかまた足の痛みがジンジンしてくる



「なんでぃ」



神楽の頭の上から振ってきた言葉、当然のように神楽は上を見上げる
とまどう神楽を見てか沖田は用がないなら帰りますぜ、こちとら叩き起こされてんでぃと放っては様子を見る

「ああぁあああっええええっと」

明らかに動揺している、だが涙は止まっていた、不思議と涙は流れない、心が温かくなる
沖田は頭の上にはてなを浮かべ神楽の様子を見る、よくよく見てみるとぼろぼろだ
ぼろぼろの様子を見てまた沖田の頭の上にははてなが増えた、だが何故だか嬉しかった



「明日っ温泉・・行く。だから・・一緒っ・・行きたい」


極力の最低限のことは伝えたつもり、いや、これでも十分だった。
沖田はよく話は分からなかったが少しは分かる

 −温泉に一緒に行きたい−

このことだけは伝わった、ちゃんと。


「・・ありがと」

ぼそっと呟く
今度は神楽が頭の上にはてなを浮かべる、聞き取れなかったのだ

「さぁっ、夜も遅いことだし送って行きますぜ?」

そういうと神楽に背を向けてしゃがんだ、おんぶの合図だ
いらないネ!そんなのと突き放すが沖田はその足では帰れないだろぃとおんぶを進める
仕方がなさそうに乗る神楽は沖田の背中の中で少し微笑んだ

「やっぱり今日は晴れアルっ」

そう独り言を放つと沖田はあ?と聞きなおす、神楽は別にっっと機嫌よさそうに放つ


曇り空のその先は・・晴れ


「胸があたってますぜぃ」

とふざけ半分で言う

「・・だぁぁああああっ!やっぱりおんぶなんて要らないネ!!おろせぇぇええええええええええええ」

恥ずかしさを隠すため大声で叫ぶ
その叫んだ声が昨日に吸い込まれていくように朝日が昇ってゆく

どうやら曇り空のその先は晴れのち半分曇りのようだ