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第参話「嬉しいのか悲しいのか」

「まぁ、とりあえず俺ん家こいよ。行くとこねぇんだろ」
「……」
別に、ここで飢え死にしようが、野たれ死のうが構わない。
「はい、決まりー!」
腕を掴んで強引に馬に乗せる。
「……」
まだ返事してないのに……。

「落ちねぇように気をつけろよ!」
そして、馬に手綱を叩きつける。
「……っ!?」
急に走り出した馬と、そのスピードに驚いて落馬しそうになる。
「『気をつけろ』っつったろ!!」
左手を手綱から離し、その手を綾女の腰を握って落ちないようにする。
「ほっせー」
力を入れすぎるとそのまま崩れてしまいそうだった。
「……」
見ず知らずの私を助けて下さった……。せめてこの方に何か恩を返さなければ。それまで、死ぬことはできない……。

「そういえば、俺名前言ったっけ?」
「聞いてません……」
「そうか! 俺は伊達政宗! 奥州の筆頭だ!!」
「伊達……政宗……!?」
独眼竜の……。あの有名な伊達政宗さん……!?