二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Prologue ( No.2 )
- 日時: 2010/05/26 19:49
- 名前: 日向 (ID: zRIiH/oV)
澄んだ青い空に一点の汚れも無い白い雲がふわふわと浮く快晴の日。
あたし、リク・ティオーラは大好きなこの地で普通学校に通っている。
「リク、おはよ〜」
通学路を歩いていると、友達のミーナがあたしの横まで来て声をかけてくれた。
「あ、ミーナ!おはよっ」
ニコッと笑いかけると、ミーナは何故か温かい笑みであたしの頭を撫でていた。
「? どうしたの、急に頭を撫でて」
「いや・・・・・・、リクって相変わらず可愛いなぁって思って」
「???」
ミーナの言う事はあまりよく分からないなあ。
そう思っていると、別の通学路で黒いマントを羽織った学生達に目が入る。
「あれって・・・・・・、魔法学校の子達?」
「あ、本当だ。この時間帯に見るの、私初めてかも」
「うん、あたしも」
魔法学校の子達は普通学校とは違い、時間帯は違い少し遅めで登校している。
なので、早く登校する姿は見ない所為か何だか新鮮な感じになってしまう。
「そういえば、隣の組のアリーチェって子、この間の土曜日に魔法学校に転校したって」
「え、そうなの?」
「うん。最近いるんだよねぇ、普通学校を辞めて魔法学校に行っちゃう子。昔はこうじゃなかったのになぁ」
「多分魔法が着々と発展してるんじゃないかって、オスカー叔父さんが言ってたよ」
あたしのお父さんの弟であるオスカー叔父さんは、顔が広い為地元で彼を知らない人はモグリと呼ばれるほどの有名人。
あたしの家は叔父さんの妻であるケイラ叔母さんと叔父さん、そして自分を含めた3人家族。
でも、叔父さんの息子のカイト兄がいるんだけど放浪癖があって、今は世界中を旅している。
今、どうしてるんだろうなあ。
「でも、中には【ミルス・クレア魔法院】に入学しようとしている子も多いみたいなんだよ」
「そうなの?」
「ま、あの【ミルス・クレア魔法院】はかなり有名なのは分かるけど・・・・・・、今の成績じゃダメな子が多いから必死で勉強してるらしいよ」
「大変だね・・・・・・」
ミーナの話にあたしは感心したように呟いた。
【ミルス・クレア魔法院】とは、世界に名立たる魔法都市・ラティウムにある魔法の名門校のこと。
魔法士を目指す子達の憧れであるが、入学試験は難しく中々入学できないほど。
その為、今は地元の学校で一生懸命勉強している子が多いらしい。
だけど、カイト兄は地元で唯一ミルス・クレア魔法院へ入学した魔法使い。
卒業後、一時期魔法院にある魔法の研究施設である【黒の塔】で研修していた事もあった位だ。
「・・・・・・リクはさ」
「何?」
突然神妙な顔で話しかけてきたミーナに少し驚きながら返事を返した。
「何か【やりたい事】は、無いの?」
「えっ?」
急な質問であたしは少し困惑してしまう。やりたい事とか将来とか先の事はあまり考えたことは無い。
「あたしは、一杯勉強していいお仕事に就いて叔父さんたちを楽にさせることだよ。いつも言ってるでしょ?」
「それは【目標】でしょ?私は【やりたい事】を聞いてるの」
真面目に話すミーナにあたしは困りながら言う。
「やりたい事とか、何か先の事みたいであんまりよく分からないなぁ・・・・・・」
そう呟くと、ミーナはため息をついた。
「ま、まだ私たち15だし良く分からないこともあるけど・・・・・・、やりたい事はちゃんと見つけなきゃダメだよ?」
「・・・・・・うん」
そう返事をしてあたしたちは学校に向かって少し早めに歩いていった。
その日、一日中【やりたい事】について考えていたが、結局思いつかなかった。