二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Prologue ( No.4 )
- 日時: 2010/05/28 14:54
- 名前: 日向 (ID: zRIiH/oV)
叔父さんに告げられた言葉にあたしは不安を隠せなかった。
お母さんが古代種だったなんて・・・・・・、いまいち納得はいかなかった。
「お母さんが古代種って・・・・・・嘘でしょ?」
「嘘じゃない」
あたしの答えに叔父さんはキッパリと断言する。目に宿る真剣さにこれは本当だと思い知らされた。
叔父さんは少し間を置いて語り始めた。
『——あたしの母、リーシャは古代種の中で強大な魔力を持っており、星の声で未来を予言する星詠みの力まで持っていた。
その上母は500年も生き続けた人物でもあり、古代種達は母を【姫】と呼び、尊敬し、崇拝していた。
しかし、母には一つ欠点があった。それは、【魔法を使う度に寿命を削られる】呪いにかかっている事。
それを知った古代種の長、ファタ・モルガナは母の魔力を4分の3まで封じさせた。
魔力を封じた母は古代種達が住んでいた場所を離れ、この地にやって来て静かに過ごしていた。
そして20年前、母が住んでいた山小屋にある一人の青年が訪れた。それはあたしの父、ジャック・ティオーラだった。
当時の父は風の噂で母の元に訪れたという変人だった。
最初は父を警戒していた母だったが、父の明るさに母は少しずつ父に惹かれて行った。
しかし、自分の命は残り少ないと星詠みで知った母は父に別れを告げるはずだった。
父は魔法で母の未来を知っていた。それでも一緒に居たいと言う父に母は言うはずだった別れの言葉を告白の言葉に変えていた。
【ずっと側に居たい。私は、貴方をずっと愛する事を誓います】——それが、母が口にした告白だった。
そして5年後、父と母は結婚。そして、あたしを生まれた。
だが、あたしを産む時に母は残り少ない命を犠牲にして産んだ後、母はこの世を去った。
そして父も、あたしの出産日に馬車に引かれこの世を去ってしまう。
その後、叔父さんはあたしを引き取り、15年間秘密にして育てたのであった——』
叔父さんが明かした事にあたしは黙っていた。
あたしは、こんなにも愛されていたなんて、思わなかった。
何で気付かなかったのだろう。そう思うばかりだった。
「・・・・・・その後、兄さんの遺書でこの本を16歳——お前が成人として認められる歳まで開いてはいけないと書かれてあった。けど、もう話しちまったからしょうがない」
そう自棄気味で言った叔父さんは机の上においていた本をあたしに差し出す。
そのまま本を受け取ったあたしに、叔父さんは苦笑しながら言う。
「その本な、ページ全部がくっ付いてんだ。多分本の真ん中辺りを開けば開くかもしれないぜ」
そう言った叔父さんにあたしは本の真ん中辺りに指を当て、思いっきり引っ張った。
その瞬間、バコッと今まで開かなかった本が、開いた。