二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: PanboraHearts−パンドラハーツ−&番外編ボカロ ( No.1 )
日時: 2010/06/24 21:24
名前: 猫夜 恋 (ID: X96rB3AK)

Retrace:Ⅰ〜プロローグ〜

アリスはずっと一人ぼっちで、この奇妙にねじれたオモチャ箱のような世界にいたのです。
アリスは何にもお覚えていません。
だからアリスは、ばらばらになってしまった記憶を探そう、そう思いました。
アリスの記憶は向こうの世界。
ここから出なくてはなりません。
でもどんなに頑張っても、道はぴったり閉ざされたままです。
契約者がいれば、真の力で蹴破って見せるのに…
そんな時のこと。
思いでなど持たないアリスの耳に、哀しい、でもどこか懐かしい旋律が聞こえてきたのです。

あんな子供・・生まれてこなければ良かったとオズの父は言いました。
オズは四大公爵家の跡取り息子。
可愛い妹に優しい従者みんな仲良く暮らしていました。
でも———オズが15歳になってもオズの父が帰ることはなかったのです。
そんなものだとオズは言いました。
受け入れてしまおう。そう思いました。
オレは大丈夫だから——ひまわりのように笑いながらオズは言いました。
裁きの時は来たとバスカヴィルの民は言いました。

罪人はオズ  罪名はその存在

———それは、成人の儀式の最中で起こりました。
最後に見た世界は、泣きたくなるほどまぶしい世界でした。
真っ暗闇の中落ちていく先は、アリスの待つ深淵(アヴィス)だったのです。

お帰りなさいと意地悪ブレイクとお人形みたいなシャロンが言いました。
オズはアリスの契約者になってアヴィスから帰ってきたのです。
でも帰ってきた世界は、儀式の日から10年がたっていたのです。

アリスはオズと散り散りになった記憶を探します。
オズはアリスの記憶を探しながら考えます。
「罪」とは何なのでしょう。
それを知ったときオズはどうするのでしょう。
同志アリスの手を取って、
オズは「自分」の姿を探す旅路を歩き始めるのです———。