二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【烈人と玲菜が】ボカロで学園【コラボってみた】 ( No.1 )
日時: 2010/06/25 15:49
名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)

    ぷろろーぐ*きみの笑顔と小さな想い




 やっぱり授業は退屈だ。なんにもすることがない。暇だからといって、真面目に授業受ける気にもなれず。
 ……あたしはいつものように、頬杖をついてレンの横顔を眺めていた。
 運良く席替えで隣同士になれて、今までよりそこそこ会話も増えた。
 なにより、退屈な授業中にこうしてレンの横顔を眺めていられるのが嬉しかった。

 眠そうな目に、退屈そうな表情。それでもちゃんと授業は受けている。
 といっても、開かれたノートにはなんだかわからないけど文字が——つまり落書きがあるんだけど。

「あー……」

 授業は後、三十分もある。いちいち長い。なんで勉強なんてしなきゃならないんだろう。
 またレンに聞いてみようかなー。レンならなんて答えるだろ……? ちょっと楽しみ。
 
「……おい」
「え?」

 のんびりとそんなことを考えていると、レンに声を掛けられた。
 いきなりのことだったので、思わず声を上げてしまう。……え、ていうかなに?
 
「お前、ちゃんとノート取れよな」
「……だって退屈なんだもん」

 相変わらず眠そうなレンから放たれたのは、真面目すぎるそんな言葉だった。
 そんなこと言われたって、授業自体が退屈なんだから仕方ない。
 だからそう返したら、レンがくすくすと笑って「ばーか」と言ってきた。あ、むかつく。

「……なに?」
「ちゃんとノートは取っとけよ。俺のノートが見たいんなら見せてやるけど」

 冗談めかして言ったんだと思う、そのレンの言葉。だけど、あたしは——
 
「——見せてよ」

 本当に、無意識だった。なんでこんなことを言ったのか、いや言えたのかわからない。
 今のあたしは、きっと不器用な笑顔を浮かべていて——ちょっと頬も赤いんだろうなぁ。
 
 なんで、言ったんだろう。レンともっと喋りたかったから? 
 ……うん、多分そう。他になにかあったとしても、これは否定できないかも。
 って、なに考えてるのあたし。あたしってこんなキャラだっけ?
 ああもう、レンが絡むとなんだか最近のあたしは可笑しくなる。なんていうか、平常心が保てないっていうか……。

「……あ、……え?」

 やっぱり冗談だったようで、レンはぽかんとしていた。聞き間違いかなにかだと思おうとしてるみたい。
 やだ、なんか今頃恥ずかしくなってきた。迷惑だよ、あたしなんかにこんなこと言われても。
 レンも困るよね。こんなこと言わなきゃよかった。……嫌われたら、どうしよう?

「あ、……ご、ごめ……」

 謝らなきゃ。嫌われたくない、だから謝らなきゃ。そして笑わなきゃ。
 冗談に決まってるでしょっていって、笑わなきゃ。ねえほら、はやく笑ってよあたし。ほら、ねえ!

「……——ん」

 無理に笑顔を作ろうとしていたあたしの前に差し出されたのは——紛れも無い、レンのノートだった。
 え、と思わず口から言葉が洩れる。それを聞くとレンはなんだか不機嫌そうな顔になって——

「……んだよ? どうせ今までもノート取ってないんだろ、ノート貸してやるよ」

 そういいながら、それからにっこりと笑みを浮かべた。可愛くて、かっこくて、でも生意気で。
 ……ずるい。こんなのってあり? ずるすぎるよっ……!

「……あ、えっ、と……」
「ちゃんと返せよ? 後、お菓子とか零して汚さないこと」

 ……前言撤回。レンはうざい。成る程ね、これが上げて落とすってやつね。……覚えてろ。
 だけど、なんだか。レンのその言葉を聞いて、急にあったかいモノがこみ上げてきて——

「……ありがと」

 思わず、あたしもにっこりとレンに微笑み返した。



**



「リンちゃん、それは『恋』って言うんだよ」

 やっぱりリンちゃんは、レン君のことが好きなんだ。まあ、様子見てればすぐにわかるけど。
 今日の授業中のことを顔を真っ赤にさせて、……でも笑顔で語るリンちゃんに、私はそう言った。
 すると、リンちゃんの下から赤かった顔がさらに赤くなる。……照れてる。

「え、えええ……!? こ、恋!? ちちち、違うよ、べ、べつにレンが好きなわけじゃ……っ」
「——大丈夫」

 リンちゃんは否定するけど、レン君もきっとリンちゃんのことが好きだ。
 ていうか、クラスでは——本人達は知らないけど——もう公認の仲だ。
 だから、大丈夫。リンちゃんは、きっと上手くいく。きっと、きっと。

 そう、——私と違って。

「むっ……じゃ、じゃあミクは好きな人いないの!?」
「あ、……え……あ、まあ、いるっちゃいる……かな」

 ふと浴びせられたリンちゃんの問いに、しどろもどろになりながら答える。
 いる。確かにいる。だけどきっと、私は無理だ。だってあの人は——私なんかには届かない。

「え、誰? 教えてよーっ」
「だーめ」

 学年が違う。相手は先輩だ。もうそこからほぼ無理だと決まっているといってもいい。
 なのにしかも、……その先輩は陸上部のエースだなんて。私には、届かない存在。
 高望みにも、程がある。

「えー、教えてよー!」
「だめー。あ、じゃあリンちゃんがレン君に告白したら教えてあげる!」
「えええ!? だ、だからそんなんじゃないってーッ!」

 きっと私は、想いを伝えられない。リンちゃんが羨ましいと思う。
 けど、好きになったのは私自身。……私自身がどうにかしなければ、どうにもならない。


 私達の帰り道は、夕日が綺麗な茜色に染めていた。






                   ぷろろーぐ*end







**
いきなりこんなんでごめん! 玲菜、パス!
なんか色々と勝手に設定つくちゃってごめん……そして駄文でごめんorz