二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:    猫と犬   【黒執事】 ( No.5 )
日時: 2010/07/31 20:29
名前: アリス (ID: /jbXLzGv)

 01匹 その執事、過保護


茶色く、美しい長い髪は風に靡いた。
それを少女は片手で押さえ、辺りを見渡した。

すぐ隣にはこれまた驚く程の絶世の美女。


「グレイ。風が出てきたわ」

「そうで御座いますか。なら、すぐに屋敷に入りましょう」

「…そうね♪」


少女は座っていた椅子から下りると、女性の手を借りながら家へと歩いて入って行く。


「あぁ、もう…グレイ。貴方手がヌルヌルだわ」

「お嬢様もですよ。さぁ、早くバスルームに急ぎましょう」


そんな小言を呟きながら、二人は屋敷へと入る。


残された庭園には、深紅の赤い赤い薔薇と共に———数々の死体が残されていた。


———————————


金色の瞳。
身長はわずか150cm程。
全身黒を基調としたデザインのドレスは、金色の瞳と茶色い髪によく映える。


「シエル・ファントムハイヴとの連絡が取れましたよ、お嬢様。昼からなら面会出来るそうです」

「もう、シエルったら仕事の話になると途端に真面目ね?嫌になるわ…」


少女———否、アリスは頬を膨らませた。
女性———否、グレイはその顔を見てニコニコと微笑んだ。


「本当に、お嬢様はシエル様が好きなのですね」

「えぇ!!肉親としては一番好きよ!!だってシエルお菓子くれるし、何だかんだ言って優しいもの♪」


一瞬グレイはシエルが優しい所を想像して、吐きそうになった。
アリスはシエルを思い出しているのか、うっとりと近くにあった子供の頃シエルと、撮った写真を見つめた。
グレイはアリスのその様な所を見て———。


「一応お嬢様にも感情は残っているのではないですか?」


瞬間、静寂。

アリスの表情が猟奇的な顔に変わり、グレイはにこりと微笑んだ。
グレイは90度体を折り曲げて頭を下げた。


「大変申し訳ありません。まさかそこまで気にしているとは夢にも思いませんでした」

「良いわ。もう済んだことだもの。今後その話をしないで。無論シエルの前でそんな話は駄目よ。シエルも…気にしてくれてるんだから…」


そう言ったアリスの表情は少し悲しげだった。


———————————


一方所変わってファントムハイヴ家では。


「今日はアリス様がいらっしゃります。私が一人でしますので、貴方達は静かに大人しくしていて下さい。田中さんはいつも通りで結構です。私は坊っちゃまを起こさなくてはいけませんので、くれぐれも、くれぐれも何もしないように」

「「「(二回言った)はーい」」」

「(信じられませんが)さぁ、皆さん庭園で木のカッティングでもして来て下さい」


メイリン達が慌ただしく庭園に出ていったことを確認し、セバスチャンは行動を開始した。

まずはお菓子好きの、アリスの為の大きなケーキ。
焼いている間にすること全てを済ませ、セバスチャンはほっと安堵の息を漏らした。
かろうじていつもの邪魔者がいなかったおかげで、いつもより早く全てが終わった。
セバスチャンは静か過ぎることに少々おかしく思い、庭園への扉を開き、外を見た。


「貴方達…大人しくしていなさいと言ったでしょう!!!!!!!!」


視界には何が起こったのやら、全ての木が折れていたり、焦げていたり。
とにかく、酷かったのであった。