二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

ポケモン二次創作 【金ノ瞳、銀ノ翼】 ( No.118 )
日時: 2010/10/06 23:18
名前: 豆電球 ◆Y6CWE4r6bA (ID: sp0cIx.0)

第四十章 〜未来の自分〜

リーグ戦から一週間後。ワカバタウン、一軒の家の二階から、ぼんやりと外を眺める少女が居た。
パジャマ姿のまま、ひたすら広い外の世界を見つめている。外に出られない理由があるのだ。
リオン「・・・お母さん、いつまで安静にしてたらいいの?もういいでしょー?」
リオン母「だーめ!まったく、貴方はただでさえ凄い戦いに巻き込まれて気絶したって言うのに!」
リオン「えー?だってぇ〜・・・」
リオン母「いけません!当分はゆっくり休んで貰いますからね!」
リオン「へ〜い・・・」
パタン
リオン「う〜暇だよ〜・・・そうだ、まだ書いてなかったっけ。ギンガへの手紙!」
もう一ヶ月近く会っていない、大切な仲間。彼は自らの罪を償う為に、自分達の元から去っていった。

以下回想シーン
三週間前、ワカバタウンのウツギ研究所にて。
ウツギ「君の働きはジョウトいや、世界をも救った。もう、ヒノアラシの件は無かった事にしても良いんだよ?」
ギンガ「・・・いいえ。俺がした事は、何をしても許されない。例え、世界を救ったとしても。」
リオン「そんな・・・やだ!行かないで!」
サトル「やっと、すべてが終わったってのに・・・」
ギンガ「俺は、罪を犯したんだ。今の俺には、お前達と一緒に居られる資格なんて無い。きちんと、償ってくる。」
リオン「・・・やだ。絶対やだ!」
ギンガ「リオン・・・じゃあ約束だ。俺はちゃんと罪を償う。だからさ、リオンも今よりもっと強くなっててくれ。そして、帰って来れたら俺とバトルしてくれないか?いつになるか分からないけど。」
リオン「ギンガ・・・」
サトル「え?俺は無視ってか!?」
ギンガ「うるせーな。はいはい、お前もそこそこ頑張れ。」
リオン「・・・分かった。必ず、戻ってきてね!私、絶対強くなる!」
回想シーン終了

リオン「まさか、私がチャンピオンになってるなんて思っても無いんだろーなー。」
机に向かい、まずは何を書こう。やっぱり、リーグでの事だろう。どんなバトルをしたのか、どんな風に勝ったのか・・・
リオン「一応、枚数が決まってるみたい・・・え?三枚しか書けないの!?」
刑務所に送る事が出来るのは、三枚までの手紙と一枚の写真のみ。それは、考えてみれば仕方の無い事なのだが・・・
リオン「少ししか書けないじゃない・・・こんなに遠くなっちゃうなんて・・・」
それでも、今の彼の状態を知るにはこちらから手紙を送らなければいけない。あちらからは、送る事は出来ないのだから・・・
リオン「よっし!出来る限り簡潔に!あと、リーグ戦後の写真も!」
ギンガには、教えたい事が沢山ある。少しでも、今の自分達の状態を伝えたい。
何度も、何度も書き直して、ようやく出来上がった頃には既に、日は暮れていた・・・

 ギンガへ
元気?私とサトルは元気!あと、ギンガのポケモン達も皆元気だよ!
あのね、私、リーグ戦で勝ったの。新チャンピオンになったんだよ!凄いでしょう?
貴方との約束を、少しだけ果たした気がします。
クレイさんとのバトルは、苦戦したわ。とっても強かったの!出てこれたら、クレイさんとも戦ったらいいかもね。(中略)
ポケモン達は、とっても寂しいみたいよ。貴方の帰りをずっと待ってるの。毎日毎日。
そうそう。サトルも、「清々した!」って言ってる割には寂しそうにしています。
勿論私も寂しいわ。だって、同じ力のある貴方と折角仲良くなれたのに、会えなくなるなんて。
違う方法で出会っていたら、もしかしたら全てが違ったかもしれない。
・・・そんな事言ったって、貴方が帰ってくる訳でも無いので、待つ事にしました。
大丈夫。帰ってくるまで、いつまでも私とサトルは待ってるから。
そろそろ、書くスペースが無くなって来ました。
最後に一つだけ。早く帰ってきなさい!
じゃあお元気で。      リオン

手紙を書いてから暫く後、サトルが訪ねてきた。二階の窓から。(よじ登ってきたらしい)
サトル「本当にこの内容を送るのか?」
リオン「うん。三枚ギリギリだったよ。」
サトル「・・・忘れてないか?俺達二人で三枚だぞ。お前、一人で書いてんじゃねえよ!」
リオン「あ、ごめん!名前忘れてた!」
慌てて、『リオン』の横に『サトル』を付け足す。
がっくりと肩を落とすサトル。どうやら、言いたい事は違うらしい。
リオン「じゃ、これでいいよね。お母さんに渡してくるから。」
サトル「あ〜違う!俺が言いたいのは・・・」
アイツ宛ての手紙のために、何時間も悩んでこんな内容を書き上げたのか?俺だって、お前の事・・・
サトルは頭を抱える。
サトル「こんな事言える訳無いじゃねぇかぁ!」
リオン「サトル!お母さんに聴こえる!」
リオン母「リオン!誰か居るの?」
サトル「・・・リオン!こっち来い!」
リオン「!?」

リオン母「リオン!?何処なの?まったく、何処行っちゃったのかしら・・・」
お母さんが去った後、部屋のカーテンの後ろから出てきた二人。
サトル「ふ〜、気付かれなかったみたいだな。リオン、大丈・・・」
視線の先の、自分の腕の中に収まっている(と言うよりは無理やり引き込んだ)リオンを見て固まる。
なんと眠っているのだ、ぐっすりと。物凄い安らかな顔で。
サトル「破壊力抜群だな・・・卑怯だろ。こんな寝顔。」
いつまでも立っている訳には行かないので、そろそろとベットまで運ぶ。
寝かせて、寝顔をじっと見た後。
サトル「ギンガが居なくても、俺がちゃんとお前の事は守ってやる。じゃあな。」
眠っているリオンに、小さな誓いを立てた。
明日から、本格的にチャンピオンとしての仕事が始まる。会うことも容易では無くなるだろう。
それでも・・・唯一自分に出来る事だから。そして、静かに窓から降りていったのだった・・・

次回へ続く