二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 願い  —銀魂・トリップ小説— ( No.12 )
日時: 2010/08/12 12:19
名前: 時雨 (ID: fgYvAUM4)

第二訓 「人の話を聞くときは黙って聞きましょう」


トリップって、そんな…
私は一人、頭を抱える。長い髪がはらりと落ちてきた。

…いや待て、落ちつけ。取りあえず…そう、取りあえず布団から起きて布団を畳もうか。

「あー、痛いなぁ。何だこれ筋肉痛?」
てな訳で、痛い体に鞭を打ち、布団を畳んでいるとスーっと襖があく音がして現れたのは───

ゴリrあっ、間違えた。近藤と土方…らしき人。
勿論だが、その後ろに沖田もいる。

「もう、大丈夫なのか?」
話しかけられたのは、鋭い眼で黒髪の土方に瓜二つの人。

「えぁ?まぁ…はい。大丈夫と言えば大丈夫です」
大丈夫かどうなのかは私が訊きたいくらいだが、身体はとくに異常はない。節々が痛いのは変わりないが。

「そうか、俺は真選組局長の近藤だ。宜しく」
「俺ァ、副長の土方だ」
はい、存じ上げております。と言いたいところだが、言ってしまえばまた、補欠を掘るだけなので言わなかった。

さっきみたいに、苦しい言い訳を二度も考えられない。


「いくつか質問に答えて欲しいんだが、いいか?」
そう言ったのは、近藤っぽい人。容姿についてはノーコメントでお願いします。

「どうぞ、答えられる範囲ならば」
そう答えると、近藤は「勿論だ」と頷いた。

「名前は、さっき総悟に聞いた。小田切明と言うらしいな」
「はい。気軽にアキとでも呼んでくださいっ」
そう言うと、土方に「キャバクラかよ」とツッコまれた。

「じゃあ、アキ。住所は?」
「使うのかよ」
と、土方は溜息をついた。

「住所…ですか…。多分、この世界じゃありません」
三人の顔がフリーズした。

「この世界じゃねェってんなら、あんたはどっから来たんでィ」
沖田の質問には困ったが、これは身元を証明する良いチャンスかもしれない。


「……一応話します。けど、信じなくて良いです。なんて言わなくても信じられないでしょうけど」

☆ミ

私は、順に話していった。
自分の世界のこと、銀魂がマンガとして私の世界に存在していることも、家族のことも。

ただ、流星群のことは、言わなかった。
言ったところで、自分の恥をさらすだけだ。

3人は黙って聞いていた。何も言わず、無表情なまま。
でも、それがとても話しやすくて気が楽だった。
話を終えた後、近藤が口を開いた。

「つまりアキは、住むところとかないのか?」
「はい、まぁ」

うーんと言って悩む近藤に土方が耳打ちをする。
チラチラこっちを見ていることで、私のことを相談しているのだろう。
てか、この状況で私のことじゃなかったら、何してだよって話だが。

しかし、と思った。
鬼の副長も内緒話するんだ。
土方大好きなネットの友達が知ったら喜びそう。

「よし、お前の処分が決まった」
処分ッて…私なんか悪いことした?

「オイ、心の声は心で言うもんだ、丸聞こえだぞ。あと、悪いことをしたかと訊いたな。じゃあ、うちの屯所の屋根にあいた穴をどうにかしてくれるか?」

あ。
「あいちゃったんですか?」

「そりゃーもう綺麗に開きやしたぜ。なのに、当の本人はピンピンしてるんで、医者も驚いてやした」
「それは…どうも」
確かに、全身で瓦を割ったというのに血が出るどころか、かすり傷さえ無いのだから驚いたことだろう。

「ところで、処分なんだが…しばらくアキには
真選組の隊員として働いてもらう」

……ん?真選組?隊員?働く?



「はいィィ!?」