二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 赤頭巾ちゃんと愉快な仲間達【童話】 ( No.29 )
日時: 2010/08/14 16:23
名前: 雨月 (ID: H5up09UV)

第一幕【朝】

東から日が昇る頃、いつも通りの朝が童話国に訪れた。そして、我らが【Red・Hood】にも朝と言う名の者はやってくるのである。しかし、その朝と言うものの迎え方は一般的な朝の迎え方なのかは少し不思議だったりする。例えば、余りにもマニアックすぎて分かりずらい寝坊時間とか…。

「わぁっ!ね、寝過したぁ!!」
朝から大声を上げているのは、【Red・Hood】一番隊隊長の紅原 林檎である。言った矢先に寝坊とは…これで主人公が務まるのでしょうか?

寝坊したと、騒ぎ着替えながら林檎はとりあえず【Red・Hood】の大広間…つまり台所へと向かった。そして、その台所にはいつもの面々が集結していた。

「あっ、おはよ。…林檎?今日は如何したんですか。
そんなに慌てて」
この、笑顔でフライパンを持って話しかけてきた女の子は富田 真珠である。情報管理を担当しているしっかり者である。
「寝坊したのよ! 如何して起こしてくれなかったのよ」
そう言って、自分の自己責任を真珠に押しつけ嘆く主人公。

「それは、貴方が幾ら起こしても起きなかったからじゃないかしら?」
不意に聞こえた、お嬢様らしい手なれた敬語。この声に聞き覚えが有るかのように林檎は振り返った。
「み…幸。どうしてアンタがここに居るのよ」
林檎が、幸と言ったその少女——灰山 幸は少し呆れ顔になりコーヒーを入れ始めた。
「私が、毎回ここで食事をするたびに同じ事聞くのはやめてくださいません?」
怒っているのか、カップを置く手は少し震えていた。
「だって、読者は初めてだから…って、そんな事より十五分も寝坊だよ!!」
マニアックな時間だな本当に…。例えをそのまんま遣らかしてくれる主人公初めて見ましたよ。
「…じゃぁ、何で呑気に朝食を待ってるの?」
エプロンを外し、真珠は椅子に座りサンドイッチを食べ始める。

「え?私の分無いの?まさかそんな訳…ないよね?」
「有るよ。そんな訳…御馳走様」
綺麗に、手を合わせ幸せ感を漂わす物静かそうな少年——富田 王朱は皿を持って流し台へと向かう。
「そんな訳で、貴方の朝食は無いみたいよ?」
くすくすと、笑う幸。

「そ、そんなぁ…。真珠の朝食楽しみにしてたのに」
そう言って、床にへたり込む林檎。
「…林檎?そんな所でどうしたの?」
「てめっ、今日日直って言っただろうが!!何で、お前が一番おせぇんだよ」
「真うるさい」
へたれている林檎に声をかけたのは、【Red・Hood】でも案外有名な三人だった。

「早く行こ…? ご飯は…林檎でも食べたら」
果物バスケットから林檎をとって林檎に渡す少女——無兎。
「はっ、林檎が林檎食ってらぁ。共食い始めたか?」
そんな光景を傍から見て笑っている馬鹿一号——富田 真。
「真…五月蠅いってば」
さっきから物静かな、知的少年—— 王朱。
そんな、三人に声をかけられ林檎は立ち上がる。
「日直っ!?全然覚えていなかった」
「貴方、良く其れで一番隊隊長が務まるわね」
先ほどと同じ、呆れ顔の幸。
「とにかく急ごうぜ、共食い林檎」
憎たらしい笑みを浮かべ真は言う。
「わ、分かったわよっ!!てか、私は紅原であって共食いじゃない!!」
「朝から賑やかなのは良いですけど…もうソロソロ行かないと日直、本当の意味で遅刻だよ?」
全然、焦りを表していない真珠の顔にほっこり…。
「何て、してる場合じゃなぁいい!!」
「林檎?待ってよ…そんなに急いだら扱けるよ…」
かくして、【Red・Hood】のいつもの朝は過ぎて行くのであった。