二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: とある科学の超電磁砲./新風紀委員 ( No.37 )
日時: 2010/09/07 16:27
名前: 棗. ◆/lQMO72QVo (ID: Dfaev/X/)
参照: http://__________________

■□——————.2話



黒子達が少女に連れられて入った店は暖かい光が灯されていて、小さな植物が置かれ、建物が木材でできている。
入った途端に甘い香りが漂い、それに釣られるかのように初春のお腹が鳴る。
少女はくす、と笑い「座ろっか」と言うとテーブル席に座った。黒子と初春も正面向きに座る。
少女は注文を受けに来た定員にケーキを3つ頼むと置かれた水を静かに口に注ぐ。
……だが、本当に見れば見るほど可憐な美少女だ。飲み方も仕草も何もかもが美しい。

「改めて、あたしは小鳥遊柚乃。常盤台中学2年よ。風紀委員ジャッジメントには175支部に所属してるの」
「い、今、『常盤台』と仰いました…?」
「ええ明日から通う事になったのよ。本当は風紀委員ジャッジメントも明日から何だけど…あの状況じゃ仕方ないわよね」

にこやかに柚乃と名乗られた少女は言う。黒子は「あの状況じゃ」という言葉に反応し、反発した。

「お言葉ですが、彼方が居なくとも私だけでも何とかできてましたの。余計なお節介はよして下さいまし?」
「でも小鳥遊さんが居なかったら逃げられてたかも知れませんよ?」

初春が苦笑混じりで笑うと黒子は強く初春を睨んだ。初春はとっさに目を逸らす。
丁度その時、注文したケーキが運ばれてきた。
ふわふわのシフォンケーキにクリームと苺とキュウイ、オレンジが添えられている。
初春は再び目を輝かせた。一口食べると「美味しい〜」と感激の声を上げ、二口目からは味わうように細かく食べる。
柚乃は黒子にも勧めると黒子は少々照れつつも「頂きます」とケーキを食べる。

「……で?彼方達の事も教えてくれるかしら?」
「あ、す、すいません!私は初春飾利です!宜しくお願いしますっ……あ、で、そしてこっちが…」
「常盤台中学1年白井黒子です。黒子で構いませんわ」
「……飾利ちゃんに黒子…ね。分かった、宜しくね」

〝飾利ちゃん〟あまり呼び慣れないその言葉に初春は照れつつも喜びを感じていた。
きっとこの人は優しく素敵な人なんだろう、と思う。きっと能力もそんな彼女に相応しい能力なんだろう、と。
気になり柚乃に何の能力かと尋ねて見た。

「あの…小鳥遊さんの能力って…?」
「柚乃でいいよ。私の能力はね、読心能力サイコメトリーって言って対象に触れることで思考を読み取る能力なの。例えばこんな風に…」

柚乃はそう言って黒子に手を伸ばした。黒子は「へ?」とその触れられた手を見てる。
な、何ですの?と黒子はおどおどしながら聞く。

「『早く帰ってお姉様にお会いしたいですわ…。そして×××や××な事を……』……黒子って百合?そういう派?」
「し、白井さん…」
「おほ、おほほ。私がそんな事を考えるわけないじゃありませんか。冗談はよして下さいまし…」

黒子は思い切り苦笑い。ぎくしゃくの笑顔にバレバレ。勿論此れは本心に決まっている…。
柚乃は、こんな感じと手をピースにして笑って見せる。
そんな彼女に初春は柚乃のSっ気を感じとった。笑ってる。笑っているのだが後ろには明らかに何やら黒い笑みが浮かんでる気がした。

「飾利ちゃん、美味しい?」
「はい!とっても美味しい…です…」

ふと自分の肩に柚乃の手が置かれてるのに気づいた。その瞬間顔が次第に青くなっていく事に自分でも感じ、慌て出した。

「そんなに慌てなくても大丈夫。…でもそうね、人の心を読むのはやっぱり楽しい」

笑顔で、これでもかというほどの笑顔で言われ頷くしかなかった。
これからは心を読まれないように気をつけなきゃと初春は心に誓った。でも根は優しく美人。気を使ってくれるし、良い人だ。その内左天さんや御坂さんに紹介したい。

「……さて、長居するのも何だしそろそろ帰ろうかしら。誰かさんは愛しのお姉様に会いたいみたいだし…ね」

柚乃は黒子に向かってウィンクをした。黒子は冷や汗を流しながら、初春と一緒に店を出て行く柚乃を見送った。

「柚乃さん、いい人でしたね。少しSな部分もありますが…」
「ええ、そうですわね。あ、お会計…」

会計場に行くと店員は「あちらの方がもう払われましたよ」と言う。
黒子と初春は顔を見合わせきっと同じ事を考えているのであろう。


————————————————「良い人」。